2013 Fiscal Year Annual Research Report
PM2.5等の浮遊粒子状物質が1型糖尿病に及ぼす影響
Project/Area Number |
25893285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森田 健太郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (30533690)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 浮遊粒子状物質 / 糖尿病 / 免疫学 |
Research Abstract |
1型糖尿病の発症には遺伝因子だけでなく、環境因子も重要な因子として考えられている。そこで、この環境因子の1つとして浮遊粒子状物質に着目し、1型糖尿病との関連を検討している。具体的には、1型糖尿病モデルマウスを用いて、浮遊粒子状物質を吸入曝露させることによる影響評価を、免疫担当細胞を視点に検討している。浮遊粒子状物質としては、独立行政法人国立環境研究所において作製された認証標準物質であるゴビ黄砂(NIES CRM No.30)を用いている。曝露方法としては全身吸入曝露装置を用いる方法があるが、これは大がかりな実験となり手間とコストが掛かるため、ゴビ黄砂を懸濁した溶液を用いて経鼻投与もしくは気管内投与で検討を行っている。投与量は、生活環境保全維持において望ましいとされている値の最大値(環境基本法第16条第1項の浮遊粒子状物質の濃度において1時間値の1日平均値が0.1mg/m3以下とされている)や北京で過去に記録された値(約0.4mg/m3)を参考に検討を行っている。また、1型糖尿病モデルマウスを用いる系としては1型糖尿病を自然発症するNODマウスを用いる系と、ストレプトゾトシンという化学物質により糖尿病を誘発させる系があるが、今年度は、NODマウスを用いた系を行った。しかし、発症するまでに時間が掛かったこと及び発症時期のばらつきが大きかったために、浮遊粒子状物質による1型糖尿病の病態を評価するのが困難な結果となった。そこで、現在は、NODマウスを用いる系に比べて発症するまでに要する時間が短く、発症時期がコントロールし易い、ストレプトゾトシンを用いた系を採用し、この系の立ち上げを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1型糖尿病モデルマウスを用いた系の立ち上げが当初の予定よりも遅れているからである。今年度は糖尿病自然発症モデルマウスのNODマウスの系を優先して立ち上げようとした。それはストレプトゾトシンという化学物質により誘導される糖尿病モデルマウスよりもNODマウスの方がヒトの糖尿病発症機序に近く、浮遊粒子状物質による影響をより正確に1型糖尿病の病態に反映するものと考えたからである。しかし、実際にNODマウスを用いて検討を行ったところ、発症までに要する時間が予想以上に掛かかり、過去の論文に報告されている通りには発症が起こらなかった。また、発症時期が個体により大きくばらつき、さらに系の立ち上げということもありNODマウスの購入費用を節約したため、統計的に有意な結果が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、ストレプトゾトシン誘導性の1型糖尿病モデルマウスの系を優先することで、発症期間を短縮させ、発症時期のばらつきを抑え、今年度の遅れを解消する予定である。それ故に、1型糖尿病モデルマウスを用いた系の立ち上げを早期に行う予定である。もしこの系の立ち上げが完了すれば、浮遊粒子状物質の投与方法及び投与量の条件を様々に変えて、浮遊粒子状物質が1型糖尿病にどのような影響を与えるのか、詳細な評価を行っていく予定である。また、上記の検討を優先的に行うが、NODマウスを用いた検討も進められるように努力していく予定である。
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