2013 Fiscal Year Annual Research Report
敗戦後の映像メディアにおける寡婦をめぐるジェンダー表象
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25901002
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Research Institution | Tokyo Zokei University |
Principal Investigator |
紙屋 牧子 東京造形大学, 教員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日本映画史 / 占領期 / 戦争未亡人 |
Research Abstract |
本研究は、敗戦後の日本映画における未亡人表象が如何にして形成されたのかを検証することが目的であり、占領期からポスト占領期にかけた「母もの映画」の流行という社会現象を、「戦争未亡人」の表象という観点から、関連するその他の映画および文学等の事例と比較しつつ考察した。 その成果として、日本映画史において「母もの映画」の第一号と位置づけられている『山猫令嬢』(1948年、大映、森一生)が当初は、やはり当時流行していた「パンパン映画」を意識してつくられた作品(すなわち性的に堕落した/解放された女性を英雄化したもの)であったにも拘わらず、GHQのCIE(民間情報教育局)の検閲によってその内容が改訂され、母性愛を強調する映画となったこと、その結果、映画がヒットし、続々と「母もの映画」がつくられていった経緯を明らかにし、また、廃嘘となった日本で「聖」なる"母子像"が氾濫していた事実と「母もの映画」の受容のありようとの関係性を見出し、その関連から、GHQ占領政策の影響下でのキリスト教の表象の問題が、占領期からポスト占領期にかけて、密かに横たわる問題であることを具体的な事例(初期東映の会社マークのタイトルバック、新東宝の鐘、etc…)を挙げて検証した。 以上の研究成果を論文「「聖」なる女たち : 占領史的文脈から「母もの映画」を読み直す」(『演劇研究』第37号、早稲田大学演劇博物館、2014年3月)として公刊した。
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Research Products
(4 results)