2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの伝統薬学文献にみられる絵画材料の基礎的研究
Project/Area Number |
25901005
|
Principal Investigator |
沓名 弘美 , 日本画家
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 本草 / 技法材料 / 絵画材料 |
Research Abstract |
研究目的 : アジアの伝統薬学に関する文献には、多くの美術工芸材料についての記述が点在している。これらは、特に絵画技法材料の秘訣とされている部分を解明するための重要な情報であるが、これまで絵画材料としての総合的な研究は未発達であった。本研究は各文献より情報の抽出を行い、データベースを構築し、今後の発展的研究の基礎とすることを目的とする。 研究方法と経過 : 古典医学書、本草書、技術書、絵画技法書等から、情報を収集し電子化した後に、入れ子状になっている引用等を整理しつつ、順次、リレーショナル型のデータベースに入力した。今後は情報の状態を最適化し、公開に向けての継続的な研究を行っていく。 研究成果 : 通常のビッグデータからみると本研究はあまりにも規模が小さいが、その基本理念は、多分野に渡って情報が点在し、誤記や異説が入り乱れて複雑に重層化している絵画材料の文献の研究にも応用できる。断片化して点在する情報に書誌学的な検証を行い、コンピュータ上で整理する事により、紙の上の研究では見えにくかった情報の連なりが、少ない労力で浮かび上がってくるようになった。成果を活用した実例として、「ビューティサイエンス第3号」の『化粧品としての綿臙脂』があげられる。作成したデータベースを用いて、本草書と絵画技法書を組み合わせて研究し、謎の多かった綿臙脂の正体についてまとめることができた。伝統薬学の文献を、本草学や博物学をこえて、総合的な材料学の文献ととらえる事で、天然の原料を生活のあらゆる面に活用してきた先人の知恵に触れる事ができる。この手法は、紙や墨、その他の色材についても充分に応用が可能であろう。
|
Research Products
(1 results)