2013 Fiscal Year Annual Research Report
新発見資料に基づく沖縄更新世人類の食資源利用の研究
Project/Area Number |
25905002
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Research Institution | 沖縄県立博物館・美術館 |
Principal Investigator |
藤田 祐樹 沖縄県立博物館・美術館, 主任
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 沖縄 / 更新世人 / 食資源 |
Research Abstract |
研究目的 : 琉球列島の旧石器時代研究では、石器等の人工遺物や明確な食糧残滓の不在が長年の課題であったが、我々が2009年より調査している沖縄県南城市サキタリ洞遺跡からは、良好な更新世堆積層が発見され、これまでの調査で約1万2千年BPの石英製石器と海産貝、動物遺骸等が発見されていた。また、石垣島白保竿根田原洞穴遺跡や宮古島ツヅピスキアブ遺跡においても、更新世末から完新世初頭にかけての獣類遺骸が石器とともに発見されている。本研究では、これらの新発見資料の分析によって、更新世人の食性の一端を解明することを目的とする。 研究方法 : サキタリ洞遺跡試掘区より得られた動物遺骸を、I層(約1万2千年BP)、II層(1万6千~1万9千年BP)、III層(2万1千年BP)、III層下部(2万6千~3万2千年BP)に分け、層序による出土点数や、サイズ分布を、動物分辮ごとに比較した。またm石垣や宮古の新発見イノシシ遺骸のカットマーク等の有無を観察した。 研究結果 : サキタリ洞出土動物遺骸の大半を占める淡水産カニとカワニナ(淡水貝)、6種の陸産貝(マイマイ)を層序ごとに出土点数を比較した結果、淡水産カニとカワニナはII層で極端に出土点数が多かった。II層からは、多量の炭化材や断片的な人骨、貝製品も出土しており、その堆積にヒトが関与したことは疑いがない。この層に多量に含まれる淡水カニとカワニナも、食糧残滓であったと推測される。その一方で、陸産貝6種は層序による出土点数やサイズ変異が認められず、自然の要因で洞内に流入、堆積したものと考えられた。これらの結果は、サキタリ洞更新世人が淡水産動物を利用していた証拠であり、沖縄更新世人の食生活に関する重要な知見である。また、石垣や宮古の資料でも、完新世初頭のイノシシ骨に明瞭なカットマーク等やスパイラル破砕を認め、これらの時期にイノシシが利用されていたことが示された。
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Research Products
(6 results)