2013 Fiscal Year Annual Research Report
保健室で高校生の心理的課題を早期かつ継続的に発見し支援する方法の構築
Project/Area Number |
25907013
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
大野 志保 愛知教育大学, 附属高等学校, 養護教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高校生 / 保健調査 / メンタルヘルス |
Research Abstract |
本研究は, 年度当初に全校生徒に実施する保健調査に「心の健康」に関する内容を加えて実施することで, 不登校傾向生徒や生徒の抱える心の健康問題への早期発見・早期対応を目的とした。さらに, 年度途中にも同様の保健調査を実施することで, 支援が必要な生徒に対して介入したことの評価や個々の生徒の得点変化と, 出欠状況及び実際の転帰を関連させて客観的に評価できると考えた。 具体的な取組みとしては, 4月の保健調査に心の健康に関する項目(短縮版お茶大式学校メンタルヘルス尺度)を加えて実施した。保健調査の分析結果及び学級担任が行う日常の健康観察, 欠席遅刻早退及び保健室利用状況を含めて生徒の抱える健康問題を把握した。先行研究を参考にして, 各尺度において上位10%にあたる得点を有する生徒を抽出する方法をとった。ヒット数の多い生徒はメンタルヘルス上注意が必要であることの目安として学級担任と情報共有をして対応した。さらに, 年度途中の9月にも同様の調査を実施し, 特に年度当初に把握したメンタルヘルス上注意が必要な生徒の得点変化に注目した。また, 保健調査には面談の希望を問う項目も設け, 調査後には面談を希望する生徒及び学級担任と相談の上必要と認めた生徒に対して, 面談を実施した。 保健調査に「心の健康」に関する内容を加えたことにより, メンタルヘルス上注意が必要な生徒を抽出する資料となり, 心の健康問題を抱える生徒の早期発見につながり, 対応ができた。また, 学級担任との連携のツールにもなった。さらに, 心の健康問題への対応は, 継続的な支援とその評価の実施も重要であることから, 単年度内における複数回の保健調査の実施は, 年度当初からメンタルヘルス上注意が必要な生徒に対して支援を行ったことへの中間評価や支援方法の再考とすることができた。今後は, 保健調査結果の生徒自身へのフィードバックも考えていきたい。
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