Research Abstract |
学校現場では, 同じ教材を使った観察・実験を行っても, 教師の問いかけの違いで生徒たちの思考の深まりや拡がりが大きく変わってくる。教師の問いかけが果たす役割は非常に大きく, 生徒たちの思考の深まりや拡がりに影響を与えるものと考えられる。本研究では, 現象を科学的に説明し, 記述するための科学リテラシーを向上させる問いかけについて調査・検討し, 実践的理科授業モデルを構築することを目的とした。その目的を遂行するために, 中学校理科教科書の分析や, 大学や教育センター等の理科教育関係者へのインタビュー調査を実施し, 科学リテラシー改善への示唆にっいて検討を行った。そうした成果を踏まえて, 例えば, 以下のような教授方略を実践的理科授業モデルの中に取り入れ, 実践を試みることにした。 1非言語的刺激"Waittime" 教師の問いかけの後, 及び生徒の返答後に少なくとも3から5秒の待ち時間をとることで, 生徒たちが思考活動を行うための重要な待ち時間を確保することにした。 2言語的刺激"Follow-up" 質の高い問いかけの深化, 拡充を目的として, 生徒の思考過程や, 思考の背後にあるものを聞き出すための問いかけを整理することにした。 3社会的構成主義に基づく教授方略"Think-Pair-Share" 教師と生徒, 生徒同士という学びの相互交流を実現させていくことを目的として, はじめに一人で考え(私のアイディア), 次にパートナーと協力し(パートナーのアイディア), 最終的にクラス全体で共有する(全体で共有)という方略を取り入れることにした。 こうして開発された実践的理科授業モデルを基にして, 実際に試行授業を実施した。この成果は, 研究成果報告書(課題番号25907030)にまとめることができた。今後は, 試行授業の分析を詳細に行い, 学会で成果発表を行いながら, 現場で求められる問いかけの有効性を吟味していきたい。
|