2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学における教育の質の向上を目的とした技術支援組織に関する研究
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25907038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大角 義浩 国立大学法人 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 技術職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 技術支援組織 / 技術教育 / 実験・実習 |
Research Abstract |
理工学を中心とした教育の向上には、人手と時間のかかる実験や演習、PBL (Problem Based Learning)等を充実する必要がある。しかし、日本の大学は、欧米の大学に比べ、技術支援スタッフ(以下、技術職員)が少ないことをはじめ日本の諸状況から、実験や演習の充実を欧米並みに行うことは難しい状況にある。このため、教育分野で先行事例となる大学・国立高等専門学校(以下、高専)の技術支援組織のヒアリング調査、各技術部組織に対してアンケート調査を行い、課題と解決策を検討した。 アンケートでは、PBL教育に取り組んでいる高専は58%に達し、国立大学の22%を大きく上回っていた。実地調査した富山高専は、地域の課題を取り入れたPBL教育を行うだけでなく、それを安全教育にも活かしていた。静岡大学工学部は、1年生全員を対象とした1年間の創造教育を行っていた。これらの取り組みは、実験・実習を従来の学科や研究室を任せるのではなく、学部や高専で教育の改善方法を考え技術支援組織に明確な役割を与えていた。すなわち、理工学を中心とした教育の質の向上をはかるには、学部レベルの取り組みと技術支援組織への明確な役割が条件となる。 技術職員の高学歴化(修士以上)の傾向を調査したアンケート調査した結果、国立大学では85%に高学歴化が見られるとした。一方、技術職員の採用に困難を感じたことのある国立大学は73%、高専で88%になっている。技術職員の高学歴化は、優秀な人材を獲得できる可能性を示すが、国立大学・高専の制度が従来のままでは職の魅力に欠けていると考えられる。教育・研究の高度化も踏まえ、新たな教育支援に当たる技術職のあり方を検討すべきである。 この研究では、実験・実習などの教育の質の向上には、学科や研究室などの単位で実験を実施するのではなく、学部レベル以上で検討されたカリキュラムに沿って技術支援組織に明確なミッションが必要である。それに加え、技術支援者の高学歴に伴い教育支援にあたる技術職のあり方を検討する必要性も明らかにした。
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Research Products
(2 results)