2013 Fiscal Year Annual Research Report
中学校数学科における探求的な活動を促すカリキュラム開発~平面充填の教材をもとに~
Project/Area Number |
25909021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 雅典 東京大学, 教育学部附属中等教育学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ペンローズ・タイル / 平面充填 / 探求学習 |
Research Abstract |
ペンローズ・タイルという特別なタイルを並べる授業を、中学3年生と高校1年生の異年齢集団での授業において実施した。この授業の目的は、生徒がどのような考えに基づいてタイルを並べるのかといった観察と、その生徒の気付きを基にした図形分野における教材化の検討にあった。 授業では2種類のペンローズ・タイルについて2時間ずつ扱った。その際の生徒のタイルの並べ方の特徴として、同じパターンが続くような、規則が保たれる並べ方にこだわっていた。4色のタイルを多数用意したが、色も含めてパターンを作っていた。また、2~3枚程度のタイルを組合せ最小単位とし、それを敷き詰める方法もあった。タイルを並べることは、きれいな模様を作る事、パターンを作る事と認識しているようであった。ペンローズ・タイルは規則的ではないが平面充填可能なタイルだが、そのような規則的ではない並べ方をしている生徒からは、このまま敷き詰められるか分からないであるとか、これは正しい並べ方ではないような気がするという反応が返ってきた。このことは、タイルを並べる事が規則的なものとしか認識していないように理解される。不規則であるため、さらに並べていくと隙間ができるなど、敷き詰めできるとも限らないという不安や、必ず敷き詰められるとは言い切れないという生徒の気持ちが反映している。 このタイルに関する授業のあと、生徒が探求したい課題を自ら設定し学習を深めた。その中で、不規則とはどういう事か、ペンローズ・タイルの特徴や、2種類のペンローズ・タイルの関係などについて理解を深めていた。 本研究からは、数学の学習では、規則的なものを扱うだけでなく、あえて規則的ではないものを扱う事の意義はある。規則的なものだけが、平面を充填するわけではない事を体験を通じて学習する事は、生徒の固定観念を転換させ、新たな数学観を生徒が構築する上でも有効である。
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