2013 Fiscal Year Annual Research Report
科学的な概念形成における「ことば」と探究の関連を探るリフレクション研究
Project/Area Number |
25909035
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原口 淳一 熊本大学, 教育学部附属小学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 小学校理科 / ことば / 授業リフレクション |
Research Abstract |
本研究は、授業ビデオを使用したリフレクション(授業後の省察)の中から、小学校理科授業における科学概念の形成と子どもの探究や「ことば」との関係を明らかにすることを目的としており、理科授業中の児童の様子(発話・行動)を多く記録してデータ化するとともに、そのデータを質的に分析して、指導法の開発やカリキュラム開発に活かすことをねらいとしていることが特色である。 そこで、(1)理科授業における児童の発話のデータ化と分析、(2)認知心理学的アプローチによるデータ分析及び資料収集、(3)研究成果を活かした指導法開発、及び、カリキュラム開発などを中心に研究を進めた。特に、本年度は、小学校第5学年「流れる水の働き」及び第6学年「土地のつくりと変化」における児童の探究と概念形成に関わる「ことば」に着目した。 研究の成果として、自分の考えを自分の「ことば」で十分に語らせることは、論理的に思考することを促すとともに、他者との対話の中で根拠となる観察・実験の結果にもどったり考えの妥当性を振り返らせたりすることに有効であることが明らかになった。例えば、川の上流と下流で石の大きさが違う理由について「上流では崖崩れが起きていて大きな石から土砂まで川岸にあった」「中流の石はカーブする川の内側に溜まっていた」「中流の石には、ぶつかったとき出てきたと思われる白い粉がついていた」など、丁寧に観察したことを根拠に説明する子どもがいた。また、このことは、事実と事実の関係を明らかにする確かな理由づけや生活経験を掘り起こし比喩的な表現で分かりやすく説明する豊かな理由づけを表出させることにもつながることも確認することができた。 さらに、このような子どもの事実をビデオを使った授業リフレクションによって複数の教師で共有することは、授業中に子どもを見取る目とともに、瞬時に対応し授業をリ・デザインする教師の力量形成につながると考える。このようなことを丹念に繰り返すことにより、一人一人の子どもに寄り添い無理なく科学概念を形成する授業をデザインすることにつながっていくことも着目すべき事実である。 今後、十分に自分の「ことば」で語り合うことができる環境づくりと、その中での教師の役割を明らかにしていくことが今後の課題として明らかになった。
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Research Products
(5 results)