2013 Fiscal Year Annual Research Report
就学前児への支援におけるICTツールを用いた保護者との情報交換に関する実践的検討
Project/Area Number |
25911011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
髙橋 幸子 筑波大学, 附属大塚特別支援学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 就学前機関 / 情報交換ツール / SNS |
Research Abstract |
就学前機関における情報交換の重要性は、まずは保護者の不安の軽減にある。日々の悩みや発達支援について、即時性や正確性、わかりやすさ、伝わりやすさを備えた情報交換の在り方は常に課題となっている。保護者の不安軽減と多角的視点からの発達支援に結びつけるため、交換手段の最適化を図り、交換手段に情報通信技術(ICT)を活用する可能性を追求することは喫緊の課題である。しかし、現状ではICTツールの使用頻度や使用スキルなどにおいて個人差が大きく、その点を加味した検討が課題となっている。そこで本研究では、保護者との情報交換を補完する手段にソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下SNS)を位置付けた実践を行い、①ICTツールの使用頻度やスキルの個人差と使用性との関連、②ICTツールを活用する際に必要となる就学前機関での取り組み、の2点を明らかにすることを目的とした。 研究方法として、セキュリティ対策を施した専用サーバーで、オープンソースSNSエンジンOpenPNEを動作させ、専用のSNSを運営した。SNSにおいては、「電子おたより」の配信、保護者の個人ページの設定により、相互情報交換をめざした。事前にICTツールの使用頻度について質問紙調査を行い、その後の使用状況と照らし合わせ、スキルの個人差と使用性との関連について検討した。質問紙調査あるいはインタビュー調査により専用SNSの使用性を評価した。評価の観点にはISO 9241-11 (1998)の使用性の構成要素を用いた。その後ICTツールの使用頻度やスキルと使用性との関連について分析した。 研究成果として、情報交換手段としてSNSを使用する際の条件と課題が見いだされた。前年度開設したときと異なり、保護者の書き込み、閲覧が増えた要因の一つに、パーソナルコンピュータのみでなく、スマートフォンやタブレット端末からもアクセスしやすい構成にしたことがあげられる。手軽に使用できるスマートフォンやタブレット端末の普及は、スキルを選ばずICTツールを使用可能にするという点が確認された。配信予定担当者の異動で「電子おたより」の配信が数回に限られたと同時に、使用頻度に関しては個人差が大きく、情報伝達手段として位置づけるには更に検討が必要である。保護者からは「声にならない心の中の思いを文章にすることで気持ちに整理が付いた」「悩んでいるのは私だけじゃないんだと知った」等の感想があり、情報交換や交流の場としては評価できた。情報交換ツールとしてのSNSの活用については支援者側の意識や体制作りも関連し、今後議論が必要である。
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Research Products
(1 results)