2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25912001
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Research Institution | 岡山県立倉敷中央高等学校 |
Principal Investigator |
前田 昌義 岡山県立倉敷中央高等学校, 高校教員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 醤油醸造業 / 小豆島 |
Research Abstract |
醤油醸造業は、近代初頭までは重要な工業の一つで、その後も生活必需品を生産する重要産業であった。しかし、その研究は最大産地の千葉県と東京市場の研究が中心で、他地域の研究は限られている。そこで私は、主産地の一つの岡山県と香川県小豆島の研究をすることで、東日本の研究に偏っていた醤油醸造業史研究をより全体的なものにしたいと考えている。 今年度は、小豆島醤油製造同業組合の史料を収集・分析し、小豆島醤油全体の京阪神市場等への進出状況を明らかにしようと考えた。盛田株式会社小豆島工場に残されている組合史料は、調査し写真撮影での収集を進めた。組合旧事務所倉庫の史料は未整理のため、史料整理に着手し、写真撮影で一部を収集した。そして、補助者の協力を得て史料の解読を進めた。 史料整理、収集は途中であるが、小豆島の大手醤油醸造家(諸味2千石以上使用者)の1927~1936年の醤油移出先を検討した限りでは、小豆島醤油の移出先は大阪、神戸、広島が主要な移出先とされており、それは昭和初期においても同様である。しかし、個々の大手醤油醸造家について見れば、大阪が最重要としても、北海道が重要な移出先である醸造家、東京都が重要な移出先である醸造家、山口県や高知県といった近県が比較的重要な移出先である醸造家など、さまざまであった。また、丸金醤油の移出先は、海外輸出が重要であったことが指摘されているが、ハワイやアメリカといった海外のウエイトは1927・1928年にはそれなりにあるものの、それ以降は低下し、東京都のウエイトが高くなるといった変化が見られる。つまり、小豆島の大手醤油醸造家たちも、大阪市場を中心としながらも、経済状況の変化や各市場の状況に対応し、移出先を模索していたことが窺われる。 こうした移出先の模索は、どのような市場状況を背景とし、醤油醸造家や醤油製造同業組合のどのような経営判断の結果なのかは、これからの検討課題である。
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Research Products
(1 results)