2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規スギヒラタケレクチンPPL2の精製法の確立と急性脳症に関わる特性解析
Project/Area Number |
25915003
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂上 ひろみ お茶の水女子大学, 理学部, アカデミック・アシスタント
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | スギヒラタケ / レクチン / 糖特異性 |
Research Abstract |
東北・北陸地方で摂取されるスギヒラタケ。2004年と2007年、摂取者の中に急性脳症を発症しさらに腎機能障害をもつ複数の患者が死亡した。この原因物質と発症メカニズムの解明を目的として本研究を進めた。 1. PPL2の改良精製法の確立 (1)スギヒラタケ子実体からPBS抽出し、遠心上清の硫安沈殿画分をPBSに対して透析して抽出液とした。 (2)精製用吸着体の調製 : セファロース4Bゲルをエポキシ活性化した後アミノ化し、還元アミノ化により最も結合性の高い糖(α-Gal、β-Gal)を含むメリビオース、ラクトースおよびラクトN-ネオテトラオース(LNnT)を結合させ、残存アミノ基をブロックした。 (3)メリビアミル、ラクタミル、LNnTセファロースカラムにそれぞれ抽出液をアプライして洗浄した後、各糖溶液で溶出した結果、それぞれのアフィニティクロマトグラフィーから14kDのタンパク質が得られ、既報のスギヒラタケレクチンPPL (Suzuki, et al (2009))とは異なる、ガラクトース結合性新規レクチンPPL2を見出した。 2. PPL2の糖特異性解析 (1) ELISA法による糖結合性解析 : マイクロプレートに種々濃度のPPL2を固定化し、様々な糖BPプローブとの結合性を解析した。PPL2はα-Galと強く特異的に結合する一方でβ-Galとの結合性が示されず、精製方法との矛盾があるのでさらに究明したい。 (2)表面プラズモン共鳴(SPR)による相互作用解析 : CM5センサーチップに様々なオリゴ糖鎖-Fmoc-アミノ酸を固定化し、アナライトとしてPPL2との相互作用をBIACORE2000を用いて解析した。PPL2はラクトサミンの直列リピートおよび二本鎖分枝構造に等しく結合することを見出し, 論文報告した(Carbohyd. Res. 382, 77-85, 2013)。 3. PPL2と細胞との相互作用 PPL2は未処理ヒト赤血球凝集反応を示した。PPL2を5-DTAFで蛍光標織した後、A、B、O型ヒト赤血球と混合して顕微鏡で観察したところ蛍光が微弱だったので、さらなる観察条件の検討が必要である。今後はPPL2について、様々な細胞上の結合リガンド、細胞内取り込みの有無、神経軸索成長への影響を測定、観察する予定である。
|
Research Products
(6 results)