2014 Fiscal Year Annual Research Report
微小生物の骨格構造を理解するための放散虫拡大レプリカ作製実習系の開発
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25916011
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Principal Investigator |
小林 由枝 , 無職
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 拡大レプリカ / 放散虫 / 骨格構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
カンブリア紀に出現した放散虫は, 多様性の高い珪質殻を有し, 生層序学的に極めて有効なグループである. 高等学校の地学でも示準化石の例として取り上げられており, 学習教材としての重要性も高い. 放散虫化石を実習に用いる場合, 透過型光学顕微鏡や実体顕微鏡による観察やスケッチが主となる. しかし, 透過像からの三次元形態の把握はある程度経験を要するものであるし, 普及型実体顕微鏡の拡大倍率では放散虫の特徴である微細な骨格構造を観察することは難しい. そこで代表者は, 放散虫の骨格構造を体験的に理解できる新しい学習材「放散虫拡大レプリカ作製実習」を開発した. この実習では, 手に取れる大きさに拡大した放散虫模型の複製型を使って, 樹脂製のレプリカを作製する. レプリカパーツの整形作業と完成物の観察を通して放散虫の骨格構造を学習でき, 用いる化石種によって専門性の高い実習から教育普及活動まで展開可能なのが特色である. 昨年度は大学3年次対象の約3時間の実習を実施したが, 本研究では, 対象者を高校生~大学2年次に想定した短時間の実習の作成を目指した. 作業時間短縮のため, 今回の化石種は, 整形の手間の少ない単純な円錐形で年代決定に重要なThalarna pulchra(オマーンの下部白亜系スヘイラ層産)を用いた. 走査電子顕微鏡装着型マイクロフォーカスX線CTスキャナで撮像後再構成して得た化石の形状データを基に, 約180倍に拡大造形した石膏模型を原型にシリコーンゴム型を12個作製した. 実習は, 2015年1月に新潟大学Gコード地学実験C履修者(1年次, 15名)に対して実施した. 型の数の制限から, 実習者を2班に分け, 40分ずつの入れ替え制でレプリカ作製とThalarna pulchraを含む放散虫化石の実体顕微鏡観察を行った. 整形作業を減らしても複製作業への関心と完成物に対する満足感から実習者の放散虫に対する興味を十分喚起できていた. 今回作成した実習は, 今後, 教育普及活動にも利用が可能である.
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Research Products
(1 results)