Research Abstract |
本研究は, 電子ペンを題材として, 電子回路の作製, 信号処理の実装を学ぶための組込み技術者育成プログラムの開発を目的とする. 研究背景として, 日本の「ものづくり」を支える技術者として組込み技術者の重要性が認識されてきており, 教育現場では組込みシステムの教育プログラムが必要となっていることが挙げられる. 本研究で開発する教育プログラムの対象は, 電気電子系もしくは情報系の大学2年生程度の学生として, 15時間程度の実習として構成した. 本実習では, 加速度センサをペン先につけ, 加速度情報を取得し, 信号処理技術を用いて2階積分することで, コンピュータ上で筆記形状を復元する流れを体験しながら技術習得をはかることができる. 電子ペンシステムの構成要素は電子回路作製としての6要素(機能設計, 回路設計, 部品選定, パターン作図, 基板実装, 組み込みプログラム)と, 信号処理としての6要素(加速度解析, デジタルフィルタ, 幾何変換, 加速度積分, トレンド除去, 速度積分)から成り, これらの12要素を1回ずつの実習で完結できるようモジュール化を行い, 教育プログラムとして整備した. モジュール化しておくことで, 指導者が希望する要素のみを重点的に実践させることができるようにした. さらに, アナログフィルタの追加やAD変換のサンプリングレートによるノイズの増減など, 学生の理解度に合わせて構成要素の追加ができるようにも配慮した. また, 本研究に付随する学術的な成果として, 電子ペンシステムのセンサと信号処理方法を改良することができ, それらをまとめて研究成果として外部への発表も行った.
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