2013 Fiscal Year Annual Research Report
数値地図情報を用いた水生昆虫群集と河川物理環境の解析
Project/Area Number |
25920003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
会田 俊介 東北大学, 工学部・工学研究科, 技術一般職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地球環境 / 保全 / 可視化 |
Research Abstract |
河川の中上流域において動物群集の主要な構成要素である水生昆虫は, 流速や水温のような河川物理環境に対応して分布している. また, 河川環境を判断する指標として注目されており水質判定基準なども作成されている. 水生昆虫群集と河川物理環境との密接な関係を理解することは, 地球環境の保全に関連する諸問題を考える上で重要な要素となりえる. そこで本研究では, 水生昆虫群集と河川物理環境が容易にわかる地図情報を作成することで, 両者の因果関係を明らかにすることを目的として研究を実施した. 本研究では宮城県中央部に位置する名取川流域内の源流域を10地点選定し, 現地調査による水生昆虫群集のサンプリングと水温, 水深, 流速, pH, ECの河川物理環境の測定を行った. 採集した水生昆虫は実態顕微鏡を用いて同定を行い分類群ごとに個体数を計測した. 地図情報の作成については, 対象流域の数値地図情報を国土数値地図情報から抽出を行い, 基盤となる地図情報を作成した. 現地調査によって得られた各測定項目のデータ化を行い基盤データ上に表示する. さらに, 水生昆虫群集の計測データを重ね合わせることで水生昆虫群集と河川物理環境との関係性を可視化できる地図情報を作成した. 本研究の結果から, 水生昆虫群集と流速の関係から生活型による好適生息場に違いが見られた. これは瀬と淵のそれぞれに適した水生昆虫を示すものであり, 流速と水生昆虫群集の個体数との相関関係は得られなかった. カワゲラ目に着目すると, 水温が上昇するにしたがって個体数が減少する傾向が見られた. この結果から, カワゲラ目の個体数を調査することで水温上昇の指標として活用できると考える. また, 水深, pH, ECは降雨による影響を受けて変動するため, 水生昆虫群集との関係を考えるうえで, 降雨量を考慮した解析が必要であると考察された.
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