Research Abstract |
昨今の大震災により埋立地や沿岸部を含めて道路, 宅地などの液状化被害があり地盤流動によって大規模な地盤沈下など多大な被害が発生しており, 早急な対策が強いられている。液状化が予測される地盤上の道路では道路変状対策として, 従来の土材料の軽量化あるいは強度ある材料に置き換えることが必要であり, このための材料として従来の地盤材料に比べて密度が30%程度も軽減でき, 多孔質であるクリンカが最適と考える。 本研究では, クリンカの特性を生かした有効利用を図るため, クリンカと資源循環型社会を推進する一つとして, 秋田市の溶融施設から排出されるごみ溶融スラグさらに安定材として消石灰を添加し, 固化することによって液状化を抑制できる強度ある人工地盤材料の開発からクリンカとごみ溶融スラグの有効利用を図る。 クリンカは石炭火力発電施設から排出されたもので, スラグは秋田市総合環境センターの溶融施設から排出されたものである。用いた材料の粒径はクリンカ5㎜以下, スラグは粉砕することによって潜在水硬性が期待できるため2㎜以下とし粒径調整した。実施した試験は全て一軸圧縮試験であって, 以下の3種類の実験条件に基づいて実施した。1)クリンカのみによる圧縮試験。2)クリンカとスラグの混合土による圧縮試験。クリンカとスラグの混合割合はそれぞれ乾燥重量比で25,50,75%とした。3)クリンカとスラグの混合土に消石灰を添加し, 所定の養生後の圧縮試験。クリンカとスラグの混合割合はそれぞれ乾燥重量比で25,50,75%とした。また, 消石灰の添加率は5,10,15%とし, これらの混合土に対してそれぞれ養生期間を3,7,10,28,90日に設定した。なお, 1)~3)までの混合材料の含水比はそれぞれの最適含水比によるものとした。 主な結果として, クリンカとスラグに消石灰添加した混合土はスラグの潜在水硬性と消石灰の水和反応が複合的に発揮され地盤材料としての強度増大が認められた。地盤沈下を軽減した宅地の地盤改良材としての強度(50kN/㎡)は, スラグ混合割合25%において消石灰5%, 養生期間3日で必要強度を確保できる。また, 道路の路盤材を置き換えた場合の必要強度は各種混合土において消石灰5%, 養生期問10日で上層路盤材(980kN/㎡)および下層路盤材(700kN/㎡)としての強度が確保できる。クリンカおよびスラグを使用した場合の経済性について, 一般使用されている山砂と費用の比較から1㎥当たりの運賃と材料単価の試算から, 溶融排出施設から半径45km圏内であれば山砂使用と費用は変わらない。
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