2013 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞内での量子ドットによるタンパク質特異的蛍光標識法の開発
Project/Area Number |
25921007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
髙橋 泰人 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 量子ドット / 蛍光標識 |
Research Abstract |
○研究目的 本研究の目的は、大腸菌を対象として、その細胞内でタンパク質を特異的に量子ドットで標識する方法を確立することである。 ○研究方法 本研究では量子ドットを大腸菌体内で合成する方法を用いて、標的タンパク質の特異的標識を試みた。標的タンパク質には大腸菌のべん毛モータータンパク質の一つであるFliNを用いた。量子ドットの前駆体となるペプチド(CDS7)をFliNのN末端側に付加するようプラスミドベクターの配列をデザインし、このプラスミドをFliN欠損株に形質転換した。この菌体に発現誘導物質を加えて融合タンパク質を発現させ、カドミウムと硫黄を加え培養することで、菌体内での合成反応を行った。融合タンパク質の発現確認はテザードセル法とWestern blotting法を用いて行い、大腸菌体内での量子ドット合成及び特異的標識の確認は蛍光顕微鏡での観察により行った。 ○研究成果 カドミウムの添加量が多くなるにつれ、大腸菌の増殖能及び運動能の低下が見られたため、観察可能な程度の運動能が保たれていた0.3mMの条件下で実験を行うた。405nmと488nmの励起光を用いて蛍光顕微鏡で観察したところ、どちらの条件でも蛍光の輝点は観察されたが、大腸菌の回転中心に輝点をもつもの(蛍光標識されたFliNがモーターに組み込まれているもの)は見当たらなかった。また、western blottingにおいても単量体のCDS7-FIiN以外の顕著なバンドを検出することはできなかった。以上のことから、特異的に蛍光標識されたタンパク質の存在は確認できなかった。しかし、大腸菌の運動能を保ちながら菌体内で蛍光物質を合成させるということには成功したので、実験方法の改善及び最適化を図ることにより、今後の応用が期待できる。
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