2013 Fiscal Year Annual Research Report
音声スペクトル分析による飼育チンパンジーの個体識別法の確立
Project/Area Number |
25924006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 裕介 京都大学, 野生動物研究センター, 特任研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 音声分析 / コミュニケーション |
Research Abstract |
霊長類では音声コミュニケーションが多様に進化しており、音声によって同種他個体を識別していることは多くの種で知られている。音声的特性を飼育へ応用することで、飼育動物の個体識別が可能になると考えられる。人間が動物を識別することは飼育管理の基本的技術だが、目視よりも音声による個体識別が有効な状況は多数ある。飼育場が広く、様々な構造物や植栽が配置された所では目視での確認は容易ではなく、人間が動物を観察し続けることも不可能である。動物の監視にはカメラ監視システムを使うのが一般的であるが、十分な視野を得るのに多数のカメラが必要となる。問題が起きた場合、それを複数の録画記録から確認することに莫大な時間と労力を要するため、監視カメラを備えている施設でも、日常的な飼育管理活用するのは希である。また、夜間に起きた出来事を録画するには暗視装置など特別な設備が必要となる。音声記録の特徴を生かし、本研究では、チンパンジーのスクリーム(悲鳴)と呼ばれる特徴的な音声を用いた個体識別法を確立する。熊本サンクチュアリのチンパンジー59個体を対象として、全個体のスクリーム音声を個別に10サンプルずつ採取した。音声スペクトル分析をおこない、フォルマントの特徴とその遷移から各個体の特徴を分析した。その結果、スクリーム音声の第1フォルマントにおいて個体的特徴が顕著となり、高い周波数帯になるほど個体差が消失した。人間が聞いて「声が高い」と感じる個体(ミナトやレノン)では、第1フォルマントが他の個体より高い傾向を示した。フォルマントの特徴は、チンパンジーの個体識別の手がかりなると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A case of maxillary sarcoma in a chimpanzee.2013
Author(s)
Fujisawa M, Udono T, Nogami E, Hirosawa M, Morimura N, Saito A, Seres M, Teramoto M, Nagano K, Mori Y, ら
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Journal Title
Journal of Medical Primatology
Volume: 43(2)
Pages: 111-114
Peer Reviewed
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