2013 Fiscal Year Annual Research Report
作物の病害ストレス抑制に及ぼす施与スメクタイトの溶解性の影響
Project/Area Number |
25925010
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大平 俊明 秋田大学, 工学資源学研究科, 技術系職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スメクタイト / 溶解性 / 細菌吸着抑制作用 |
Research Abstract |
以前の研究において、ケイ酸塩化合物であるスメクタイトは、低濃度で抗菌作用を示さないが、培養液に添加してミズナを水耕栽培すると、無添加の場合に比べて作物の根に吸着する細菌数を抑制する、という結果が得られた。この細菌吸着抑制作用は、作物の病害抑制に寄与することが期待できる。そのため、作物の根における細菌吸着抑制作用に寄与するスメクタイトの因子を検討することは、作物の病害を抑制する効果的なスメクタイトの施肥条件を見出すために重要である。そこで本研究では、スメクタイトを培養液に添加した時の溶解量と細菌吸着抑制作用との間の関係を明らかにすること目的とした。培養液への溶解性が異なる2種類のスメクタイトを用いて水耕栽培を行い、作物の根における細菌吸着抑制作用の強さを比較した。 本研究に用いたスメクタイトは、既報を参考にして合成したもの(Syn-Sm)と市販品(Com-Sm)である。これらの溶解性を評価するために、添加した培養液中の溶出ケイ素濃度をICP発光分析によりそれぞれ求め、比較した。その結果、Syn-Sm及びCom-Sm添加において、それぞれ180×10^<-6>及び300×10^<-6>mol dm^<-3>となり、Com-Sm添加系がSyn-Sm添加系よりも高い溶出ケイ素イオン濃度を示した。一方、ミズナの水耕栽培における細菌吸着数は、Com-Sm添加系がSyn-Sm添加系よりも少なかった。これらの結果から、溶出ケイ素濃度が高いスメクタイトが細菌吸着をより抑制することが示唆された。したがって、スメクタイトの溶解性は、水耕栽培作物の根における細菌吸着抑制作用に効果的な因子であることが示唆された。また、用いたスメクタイトのEPMA分析の結果、Com-SmとSyn-Smの化学組成は異なることが分かった。そのため、スメクタイトの化学組成も細菌吸着抑制作用に影響を及ぼす可能性があると考えられた。
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Research Products
(1 results)