2013 Fiscal Year Annual Research Report
“味わって遺伝子機能を解析する”化学系学部学生実験モデルの構築
Project/Area Number |
25925015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 三智 東北大学, 大学院農学研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 苦味感受性 / TAS2R遺伝子 / 学生実験 |
Research Abstract |
目的 : 遺伝子操作技術は急速に発展し、大学教育における重要性も増している。本研究は、より積極的な学生実験の充実を図るため、技術の習得に留まらず遺伝子機能解析をも対象とする新たな学生実験モデル"味わって遺伝子機能を解析する"の構築を目的とした。 研究方法 : 苦味物質フェニルチオカルバミド(phenylthiocarbamide, PTC)やプロピルチオウラシル(6-n-propyl-thiouracil, PROP)は、レセプター遺伝子であるTAS2R38遺伝子に含まれる3つの一塩基多型(single nucleotide polymorphism, SNP)の組み合わせによって苦味感受性がほぼ予測可能である(Bufe et al., 2005)。本研究科栄養学研究室においてもTAS2R遺伝子中のSNPと苦味感受性の相関関係の解明が進められている。本研究は、本研究科ヒトを対象とする研究に関する倫理委員会の承認を受け、栄養学研究室の指導のもと、学生実験を履修する学部3年生30人を対象に①各自の口腔内粘膜組織からDNAを抽出し目的遺伝子のシークエンスからSNPを検出、②味嗜好性についてのアンケート調査、PTC、PROP等の苦味物質や苦味を呈する食品についての官能評価を行った。さらに①及び②のデータの相関解析結果をもとに考察会を行い、PTC、PROPについてはTAS2R38遺伝子の3つのSNPの組み合わせが苦味感受性と相関することを確認した。その他については、遺伝子配列と苦味感受性との明確な相関は確認できなかったものの、発展的な議論の題材とした。 研究成果 : 集団で実験を行うことでデータの比較検討をしながら、官能評価という体感を伴った手法で、簡便に親しみやすく遺伝子の機能解析までを行うことができた。身近な味覚を題材に高い教育効果が得られる学生実験モデルが構築できた。
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