2013 Fiscal Year Annual Research Report
アンモニア態窒素の揮散を抑制した芝生用メタン発酵消化液地中施用装置の開発
Project/Area Number |
25925016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 浩幸 国立大学法人北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオガスシステム / アンモニア態窒素揮散抑制 / 芝生用メタン発酵消化液地中施用装置 |
Research Abstract |
研究目的 : バイオガスシステムは生ごみや家畜の排せつ物、排水汚泥などの有機性廃棄物からメタンガスを発生させ、発電や燃料として利用することができ、循環型社会に貢献する技術である。普及のためには残渣となる発酵消化液の利用体系の確立が重要である。消化液は肥料の3要素を含み液肥として利用できる。しかし、スラリー状で夾雑物が多くかつ特有の臭気(異臭)があるため、公園緑地やゴルフ場での施用事例はない。その上、主成分のアンモニア態窒素は、表層施用するとアンモニア揮散が問題となり、肥料成分の損失や酸性雨の原因となる大気汚染物質の放出にもつながりかねない。このため地中施用が望ましいと考え、芝生用メタン発酵消化液地中施用装置を製作し、肥料成分であり臭気の元となるアンモニアの動向を調査することを目的とした。 研究方法 : 芝生用地中施用装置を製作し、クローラ型施用機本体に装着した。これを用いて2013年10月7日から9日に北大農場芝生地において①消化液の表層施用区と②地中施用区(深さ5cmの溝切注入)を設け、アンモニア態窒素をチャンバー法により計測した。 研究成果 : 消化液施用48時間後のアンモニア態窒素揮散率は、表層施用区で2.1~2.6%、地中施用区で1.5~1.6%であった。積算揮散量でも地中施用区が表層施用区より3割強少なかった。したがって地中施用によりアンモニア揮散が抑制されることが実証された。しかし、今回の実験では地中施用区において消化液を施用した際, 消化液の一部がオーバーフローし, 地表面に流出してしまった。揮散量の差は、消化液が地表面へ流出した液面の面積にほぼ比例することが分かった。今後は、芝生地での根が地表面近くにマット状にあるなどの特徴をふまえ、地表面への流出を少なくするために注入管の形状とサイズを変更し、溝深さを深くするなどの改良と施用量の検討を行う必要がある。
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