2013 Fiscal Year Annual Research Report
トレイルランニングレースがコース上の植生、路面環境に与える影響とその経時変化
Project/Area Number |
25925020
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長井 宏賢 高知大学, 物部総務課フィールド技術室, 技術職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | トレイルランニング / 植生 / 土壌硬度 |
Research Abstract |
I. 方法 1. 調査対象大会(参加者数) : (小)高知大演習林TR (189)、(中)阿讃山脈TR (276)、(大)えびの高原TR (417) 2. 調査項目 : 植生の本数と種数、露出根総延長、土壌硬度(山中式土壌硬度計) 3. 方法 : 1)調査時期と傾斜区分(各調査項目に共通) : 大会直前・直後、平坦(<5°), 緩傾(5-15°), 急傾(15°<)2)調査位置と繰り返し数(各調査時期、傾斜区分に共通) : 植生と露出根は(コース中心から両脇1m)×(コースに沿う長さ2m)を3~9ヵ所、土壌硬度はコース上5地点、コース両脇合計10地点 II. 結果 1. 全大会の全傾斜区分を通じた結果 1)植生 : 全72調査区間中、大会後に本数が減少した区間は44%、種数が減少した区間は32%であった。 2)露出根総延長 : 全72調査区間中、大会後に延長が延びた区間は49%であった。 3)土壌硬度 : 全72調査区間中、大会後に値が増した区間はコース上で69%、コース両脇で45%であった。大会直前のコース上路面の支持力強度の平均値は3.37㎏/㎠、コース脇では1.47㎏/㎠であり、当初からコース上は路面が踏み固まっていた。大会後のコース上の支持力強度は4.19㎏/㎠、コース脇は1.54㎏/㎠であった。2. 傾斜の影響 : コース上の土壌硬度は、大会後平坦地で5.69㎏/㎠と高く、急傾地で1.41㎏/㎠と低かった。 3. 大会規模の影響 : 大規模大会では中、小規模大会に比べて、大会前後で植生本数の減少や露出根、土壌硬度の増加がみられた区間の割合が高かった。 4. 経時変化 : 演習林TRでは大会直前直後のほか、2ヶ月後、5ヶ月後にも同様の植生調査と毎月の土壌硬度測定を行った。季節の影響が大きかった植生を除くと、土壌硬度は大会後に上昇した後、横ばいで推移し、4ヶ月後以降やや下降する傾向がみられたものの、5ヶ月後の時点でも、大会前の水準までは低下しなかった。 III. 考察 本研究により、トレイルラン大会の開催がもたらす植生・路面環境の変化を定量的に評価しうる可能性が示された。しかし、変化の程度には、開催場所の条件、大会の規模と頻度、開催時の天候など、多くの要因が影響すると考えられるため、今後、更に精度を高めた長期的な研究を行う必要があると考えられる。
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