2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療に伴う口内炎の疼痛改善を目的とした口腔内製剤の検討
Project/Area Number |
25926007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐伯 宏美 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 塩酸ロペラミド / 口内炎 |
Research Abstract |
【研究目的】がん治療は、外科的治療や放射線治療のような局所的な治療に加え、多くの抗悪性腫瘍剤や新規の分子標的治療薬を用いた全身的治療が行われている。しかし、その一方で、放射線治療や抗悪性腫瘍剤による副作用はほとんどすべての患者に必発し、治療継続に影響を及ぼすこともしばしば見受けられる。中でも口内炎をはじめとする口腔内の合併症は高頻度に発現し、抗悪性腫瘍剤の用量規制因子となることもある。本研究では、口内炎の痛みを改善するために、末梢性のオピオイド受容体作動薬である塩酸ロペラミドを用いて、多くの患者が使用でき、不快感のない、より使いやすい、さまざまな局所投与法を確立するための製剤設計とその製剤を評価することを目的とする。 【研究方法】1.新規ロペラミド含嗽液の評価 : 塩酸ロペラミド水溶液にソルビトール、クエン酸、グルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに苦みマスキング剤として大豆レシチン含有ベネコートBMI-40を1%、2%含有した含嗽液を調製し、健康成人による使用感調査を行った。また、添加剤(ソルビトール、クエン酸、グルタミン酸ナトリウム)の濃度を変更して、同様に使用感調査を行った。2.1で作製したロペラミド含嗽液のスプレー化を検討した。 【研究成果】苦みマスキング剤ベネコートBMI-40の1%、2%含有のどちらの製剤も、含嗽中の苦みは軽減していたが、含嗽液を吐き出した後の苦みが増強していた。また、両濃度の製剤とも、口当たりの悪さ、甘さが気になる点としてあげられていたが、総合的には継続可能で、使用感に問題ないと評価された。さらに、甘さを軽減する目的で添加剤の濃度を変更して作製した製剤は、含嗽中の苦みの増強が見られたが、使用感に関する評価は良好だった。こららの新規製剤を用いて、含嗽液のスプレー化を試みたが、均一に分散化されず、さらなる苦みマスキング剤の改良が必要であると考えられた。
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