2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25926011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鳴海 克哉 北海道大学, 北海道大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ロキソプロフェン / モノカルボン酸輸送担体(MCT) / 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
Research Abstract |
【研究目的】 NSAIDsは解熱鎮痛剤として広く使用されており、その中でも「ロキソプロフェン」は本邦において非常に汎用性の高い薬剤であり、国内初のスイッチOTCが上市された現在ではセルフメディケーションの観点からもその吸収動態を明らかにすることは重要である。本研究では、NSAIDsの適正使用をめざす一端として、ロキソプロフェンを中心としたNSAIDsの消化管吸収に着目し、その輸送機構を明らかにすべく種々検討を行った。 【研究方法】 消化管からのロキソプロフェンの輸送機構を評価するため、in vitro消化管吸収モデルであるCaco2細胞を用いて輸送実験を行い、以下の検討を行った。 ①Caco-2細胞内へのロキソプロフェン輸送における濃度依存性、pH依存性を評価 ②小腸上皮細胞に存在する各種トランスポーター(MCT, PEPT, OATP)の阻害剤および代表的なNSAIDsを用いてCaco-2細胞内へのロキソプロフェン輸送に対する阻害効果を評価 【研究結果】 ①Caco-2細胞内へのロキソプロフェンの取り込みはFCCP(脱共役剤)共存下、4℃条件下において顕著に抑制された。また、その取り込みはpH依存性及び濃度依存性(飽和性)を示した。 ②ロキソプロフェンの取り込みはMCTの阻害剤であるCHCにより阻害された。また、その取り込みはMCT (MCT1~4)の代表的基質である乳酸やサリチル酸、アセチルサリチル酸、ジクロフェナクなどのモノカルボン酸構造を有する化合物によって有意に阻害された。一方、PEPTおよびOATPファミリーの典型的基質であるGly-SarおよびE-3-Sはロキソプロフェンの輸送に対して阻害効果を示さなかった。 【研究成果】 本研究により、ロキソプロフェンの消化管吸収においてプロトン勾配を駆動力とするなんらかのトランスポーターが関与していることが明らかとなり、その輸送に関与するトランスポーターとしてMCTが寄与している可能性が強く示唆された。
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