2013 Fiscal Year Annual Research Report
タクロリムスとアゾール系抗真菌薬の薬物相互作用に関する検討
Project/Area Number |
25926016
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大畑 瞳 筑波大学, 附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タクロリムス / アゾール系抗真菌薬 / 薬物相互作用 |
Research Abstract |
【目的】薬物代謝酵素のCYP3Aで代謝されるタクロリムス(TAC)は、アゾール(AZ)系抗真菌薬の併用により血中濃度の上昇する薬物相互作用が知られている。この薬物相互作用によるTAC血中濃度の変化は患者によって異なるが、その要因は明らかでない。申請者らは、複数のAZ系薬剤(ボリコナゾール : VCZとミコナゾール : MCZ)の併用によりTAC血中濃度が著しく上昇した重症筋無力症(MG)の症例を経験した。今回、当該症例のVCZ血中濃度を測定し、TAC血中濃度上昇の要因を検討した。 【症例】MGに対しTAC (3mg/日PO)が投与され、TAC血中濃度は5.2ng/mLであった。口腔カンジダ症に対してMCZ口腔内ゲルを開始したところ、TAC血中濃度は17.7ng/mLに上昇した。さらに肺アスペルギルス症の併発に対してVCZを追加したところ、4日後にはTAC血中濃度は102.2ng/mLにまで上昇し、腎機能低下と血清K値の上昇も認めた。TACを休薬、減量して再開したところ、0.5mg/日で血中濃度を8.5-11.8ng/mLに維持した。VCZ内服開始4日後のVCZ血中濃度は3.04μg/mLであり、TAC休薬中も2.25-3.06μg/mLを維持した。MCZを中止後のVCZ血中濃度は0.75-1.87μg/mLに低下した。 【考察】本症例はVCZ併用により、TACの血中濃度が上昇し、腎機能低下と血清K上昇が認められた薬物相互作用症例である。VCZの血中濃度は有効治療域内を推移していたが、TAC血中濃度は、VCZ血中濃度に依存して変化していた。また、VCZの血中濃度はMCZの影響を受けており、MCZ併用時に高い血中濃度を示した。本症例のTAC血中濃度変動要因としてはVCZの血中濃度が重要であるが、MCZの影響も無視できないことを確認した。
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Research Products
(1 results)