2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛に対するプレガバリンの治療反応性に影響を及ぼす要因の検討・解析
Project/Area Number |
25927004
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
髙科 嘉章 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 神経障害性疼痛 / プレガバリン |
Research Abstract |
神経障害性疼痛は難知性といわれており、このような疼痛に対してプレガバリンが効果を示すことが知られているが、その治療反応性に個体差を認める。個体差の要因としてプレガバリンの血中濃度の変動や、神経障害性疼痛の原因の違いが挙げられている。本研究では、神経障害性疼痛に対してプレガバリンを使用しているがん性疼痛患者を対象にプレガバリンの治療反応性に寄与する要因をプレガバリンの体内動態解析をもとに明らかにし、治療選択の指標を作成することを目的とする。 浜松医科大学医学部附属病院において、2012年1月から2013年1月までに神経障害性疼痛と診断され、プレガバリンを使用しているがん患者108名を対象にした。プレガバリン服用後、NRS(疼痛数値評価スケール)が減少した場合を有効、NRSが不変または増加した場合を無効とした。 神経障害性疼痛の原因と有効率は、腫瘍による神経圧迫(71名)で60.5%、化学療法による神経細胞障害(30名)で46.7%、腫瘍の神経浸潤(7名)で14.3%であった。神経圧迫のうち28名は脊椎転移による神経圧迫であったが、有効率は脊椎転移による神経圧迫で60.7%、固形腫瘍による神経圧迫で60.4%と圧迫部位による差は認められなかった(p=1.0)。神経破壊を伴わない圧迫性の神経障害性疼痛と神経細胞の障害・破壊を伴う神経障害性疼痛とで有効率を比較すると、化学療法による神経細胞障害では有効率が低下する傾向はあるものの有意な差は認められなかった(p=0.2722)が、神経浸潤による神経破壊ではその有効率は有意に低下(p=0.0389)し、神経障害性疼痛の原因により有効率に差があることが明らかとなった。 血中プレガバリン濃度測定については、既報を基に簡便、迅速なUHPLC-FL法による測定法を確立中である。測定法確立後は文書による同意を得た患者を対象に、プレガバリン服用直前血中濃度を測定し、神経障害性疼痛の原因ごとに分類、血中濃度の分布評価を行い、有効率の差に寄与しているか検討する。
|