2013 Fiscal Year Annual Research Report
多発性骨髄腫治療薬による副作用にCYP2C19遺伝子多型が与える影響
Project/Area Number |
25927009
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松澤 直樹 信州大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / CYP2C19 / サリドマイド |
Research Abstract |
【研究目的】 多発性骨髄腫の治療は、2008年におよそ50年ぶりにサリドマイドの製造の認可・承認がされて以来、新規作用機序をもつボルテゾミブも使用可能となるなど治療選択が広がっている。一方、サリドマイドやボルテゾミブの投与により、間質性肺疾患などの重篤な副作用を発症する患者がおり、治療を中止せざるをえないことがある。サリドマイドやボルテゾミブは、ヒト肝ミクロソーム中のCYP2C19により一部が代謝を受けることが報告されている。CYP2C19は、日本人を含むアジア人でおよそ20%が欠損型(ホモ変異)であることから、多発性骨髄腫治療薬による副作用とCYPの遺伝子多型について解析することは非常に重要と思われる。本研究は、多発性骨髄腫治療薬による副作用発現にCYP2C19遺伝子多型が関与しているか否かについて明らかにすることを目的とした。 【研究方法】 インフォームドコンセントにより同意が得られた、多発性骨髄腫治療薬による治療を受けている患者を対象に採血を行い、CYP2C19遺伝子多型解析を行った。その上で、CYP2C19遺伝子多型と副作用について相関があるか解析・検討を行った。 【研究成果】 入院にてサリドマイドによる治療を受けた患者は6名であった。CYP2C19遺伝子型を確認したところ、4名は中間型であるヘテロEM、残り2名はPMであった。患者は全員、便秘や眠気などの副作用を認めたが、1名のPM患者に呼吸困難が出現した。副作用発現後に服用を中止したところ、すぐに呼吸困難の改善を認めた。また、サリドマイド服用後のAUCもPMの患者はヘテロEMと比べておよそ1.5倍上昇していた。以上より、サリドマイドの副作用発現とCYP2C19遺伝子多型の間には関連がある可能性が示唆された。ボルテゾミブ投与患者については、入院にて治療を行った患者が少なかったため、当研究期間内に解析を行うことはできなかった。
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Research Products
(1 results)