2013 Fiscal Year Annual Research Report
シタラビンによる斑状丘疹性皮疹の発生機序の解明および予防方法の検討
Project/Area Number |
25928006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大松 秀明 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シタラビン / 斑状丘疹性皮疹 / ヒスタミン |
Research Abstract |
【目的】本研究は, シタラビンによる斑状丘疹性皮疹の発生機序の解明および予防方法の検討を目的とし, 培養細胞を用いた検討を行った. 【方法】肥満細胞のモデルであるRBL-2H3細胞でのヒスタミン遊離へのシタラビンの影響を検討した. また, ヒト表皮角化細胞(HaCaT)細胞を用い, 皮膚の恒常性に関わる因子とされるSignal Transducer and Activator of Transcription (STAT)3に対するシタラビンの影響をwestern blot法により検討した. シタラビンは医療用医薬品のキロサイド(R)を用いた. 【結果】以下の結果が得られた. 〔RBL-2H3細胞〕 i×10^<-4>, 1×10^<-3>, 1×10^<-2>, 1×10^<-1>, 1g/Lのシタラビン添加培地での培養後, WST-8法で細胞数の評価を行った. 24時間培養では, 1×10^<-2>, 1×10^<-1>, 1g/Lで各々20%, 50%, 60%程度の細胞数減少が見られたが, 1×10^<-4>, 1×10^<-3>g/Lでは影響はなかった 2時間培養での細胞への影響はなかった. 2. 上記濃度のシタラビン単独, あるいはシタラビン共存下でのIgE抗原刺激によるヒスタミン遊離量への影響は見られなかった. 〔HaCaT細胞〕 6.25×10^<-2>, 1.25×10^<-1>, 2.5×10^<-1>, 5×10^<-1>, 1g/Lのシタラビン添加培地での24時間培養後, STAT3タンパクの発現量はいずれの濃度でも減少した. 【考察】上記結果より, シタラビンによるヒスタミン遊離は直接的にも間接的にも行われない事が示唆された. 但し, 長時間のシタラビン曝露による細胞毒性が見られ, 細胞破壊による細胞内のヒスタミン放出を考慮する必要がある. 一方, 皮膚角化細胞においてSTAT3タンパクの発現量を減少させており, シタラビンによる斑状丘疹性皮疹の発生機序にSTAT3が関与する可能性が初めて示唆された.
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