2015 Fiscal Year Annual Research Report
口内炎予防における口腔内保湿に及ぼすグリセリン濃度の影響
Project/Area Number |
25928011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北村 奈央子 東北大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 口腔内保湿 / 口内炎予防 / がん化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、化学放射線併用療法や抗がん剤を用いた化学療法時に発生する口内炎発現の前段階として発現する口腔内乾燥に着目し、口腔内保湿に及ぼすグリセリン製剤添加による効果を明らかにし、がん患者や造血幹細胞移植患者の口内炎発現予防方法を確立する事にある。健常者を対象として、含嗽剤使用前後における口腔内保湿に及ぼす影響について検討することにあった。 【研究・方法】 1. 医療用含嗽剤単剤の保湿効果に関する検討 保湿前後の基準として市販のミネラルウォーターを用い、比較対照群として含嗽用ハチアズレ顆粒0.1%、イソジンガーグル、ネオステリングリーン、更に0.5%NaCl-0.5%NaHCO_3水溶液、アルギン酸ナトリウムを用いて口腔内水分環境変化について、使用前、使用直後、5分後、15分後、30分後の口腔内水分変化を検討した。 2. 1で用いた各水溶液へのグリセリン製剤添加による保湿効果へ及ぼす検討 各水溶液100mLに対し、グリセリン添加後の終濃度が0.5%、5%、10%となるよう検討を行った。 主観的評価として、自覚症状の変化、使用感等についてアンケート調査を行い、客観的評価のために生体電気インピーダンス(BIA)法による口腔粘膜水分計ムーカスを用い、唾液分泌の評価には、簡易型唾液分泌測定シート法を用いた。結果、いずれの試験においてもグリセリン添加後、濃度が上がるごとに5~15%程度の水分保湿パーセントの上昇、使用感の向上を認めた。特に、アルギン酸ナトリウムにおいては、薬剤の粘度低下に伴う自覚評価における使用感の向上も得られた。一方で、アルギン酸ナトリウムは、全例において水分保湿パーセントの大きな変化は認められなかった。このとこは、使用感の向上、味覚改善を含め、今後の口腔内保湿への薬剤使用へ貢献できる可能性が得られたと考えられる。
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