2013 Fiscal Year Annual Research Report
選択的基質を用いた簡便で特異的なアセチルコリンエステラーゼ測定法の開発
Project/Area Number |
25928015
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
白田 亨 山形大学, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / 赤血球 / 溶血機能付自動分析装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、神経組織や赤血球に存在し、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解し神経伝達系を制御する重要な酵素である。これまで我々は、選択的基質MATP+(同仁化学)を用いて全血中AChE測定法を検討してきた。今回、溶血機能付自動分析装置を用いて溶血操作を含めた完全自動化の簡便で特異的な赤血球AChE測定法を開発することを目的とした。 【方法】(測定機器)溶血機能付自動分析装置は日本電子(株)製JCA-BM9130を用いた。(試薬) AChE測定試薬は0.1% Tween 20リン酸緩衝液(0.1M, pH7.4)を用いて基質液(MATP+、3.5mM)および発色液(DTNB、0.875mM)を作製した。ヘモグロビン濃度(Hgb)はヘモグロビンB-テストワコー(和光)を用いて測定した。(試料)健常者ボランティアのヘパリン血を用いた。(測定概要)自動分析装置の溶血機能を用いて遠心血球5μLと前処理液(0.1% Triton X-100リン酸緩衝液)95μLを混和し、溶血試料を作製する。AChEは、溶血試料4.4μLと発色液70μLを混和し37℃5分間加温後、基質液17.5μL加え、451/694nmで反応速度を測定し、活性値(U/L)を算出する。同時に測定した溶血試のHgb値を用いてAChE(U/g Hgb)を計算する。【成績】1) 電気ウナギ由来AChEおよびHgb標準液(ウマ赤血球)を用いて希釈直線性を検討すると、AChEは913 U/L、Hgbは4.6 g/dlまで直線性を確認した。2) 10回測定の同時再現性(CV)を検討すると、AChEは1.2%(平均170.4 U/L)、1.9%(198.3 U/L)、Hgbは1.4%(1.48g/dl)、2.0%(1.47g/dl)であったが、AChE(U/g Hgb)では0.6%(平均11.5)および0.5%(13.5)と1%以下に低下した。3) 常者5例で用手溶血法(全血10倍希釈)と自動溶血法(遠心血球20倍希釈)のAChE(U/g Hgb)を比較すると、それぞれの平均値±SDは、11.9±1.40、12.2±1.11であり、溶血方法による差を認めなかった。さらに、血漿ChEを含む全血と遠心血球での測定値に差を認めないため、本法がAChEに特異的な測定法であることが確認された。 【結論】自動分析装置の溶血機能を用いることにより、簡便で再現性の良い赤血球AChE測定が可能であり、今後、有機リン中毒の直接的な暴露指標やアルツハイマー型認知症でのAChE阻害剤による治療効果の判定や予測としての臨床応用が期待される。
|
Research Products
(2 results)