2013 Fiscal Year Annual Research Report
注射薬中に存在する重合開始剤による細胞傷害の機序解明
Project/Area Number |
25928026
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山路 和彦 岡山大学, 岡山大学病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 重合開始剤 / 1-HCHPK / アポトーシス |
Research Abstract |
【研究目的】 現在までに, 我々は注射薬中に重合開始剤が混入していることを見出した。さらに, 検出して重合開始剤は, 高濃度領域でヒト末梢血単核球を有意に死滅させることも見出した。この一連の研究によって, 一部の重合開始剤による細胞死は, カスパーゼ3/7を介するアポトーシスが関与していることが示唆された。カスパーゼ3/7は, 主にデスレセプターを介して活性化されるカスパーゼ8, あるいはミトコンドリアを介して活性化されるカスパーゼ9により誘導される。そこで今回, 重合開始剤1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone (1-HCHPK)によるアポトーシス誘導に対するカスパーゼ8および9の関与について検討した。 【研究方法】 ヒト末梢血単核球は, 同意取得した健常成人から末梢血を採取し分離した。細胞毒性試験は, 96穴プレートを用い, 細胞液(1×10^5 cells/well)に重合開始剤1-HCHPK (885 μM : IC_<50>)およびカスパーゼ8阻害薬Caspase-8nhibitorII(0.01-100 μM)あるいはカスパーゼ9阻害薬Caspase-9 InhibitorIII(0.01-100 μM)を添加し, 5%CO_2,37℃で培養した。24時間後, MTT溶液を加え3時間培養した。その後, 培養液を吸引除去しDMSOを加え, マイクロプレートリーダーを用いて吸光度を測定した。なお, 本研究は岡山大学大学院倫理委員会で承認を得て行った(承認番号 : 1026)。 【研究成果】 カスパーゼ9阻害薬添加群において, 10および100 μMで有意な(それぞれP<0.01)細胞生存率の上昇が認められた。一方, カスパーゼ8阻害薬添加群では, いずれの濃度域においても細胞生存率の上昇は認められなかった。本研究結果より, 重合開始剤1-HCHPKによるアポトーシスにはカスパーゼ9の経路が関与していることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)