2013 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性を有する抗がん薬の安全対策-イホスファミド、ベンダムスチンの揮発量の検討-
Project/Area Number |
25929010
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Research Institution | 社会医療法人生長会府中病院 |
Principal Investigator |
小泉 祐一 社会医療法人生長会府中病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | イホスファミド / 揮発性 / ベンダムスチン |
Research Abstract |
【研究目的】 揮発性の抗がん薬はシクロホスファミド(CPA)、イボスファミド(IFM)、ベンダムスチン(BDM)がある。CPAの揮発量に関する報告は数多くあるが、IFM、BDMについての報告はほとんどない。そこで今回、抗がん薬調製時の安全対策のため、IFM、BDMの揮発量の測定を試みたので報告する。 【研究方法】 臨床現場で使用されている医療用のIFM、BDMを用いて研究を行った。生理食塩液を用いてIFM標準液40㎎/mL、BDM標準液2.5㎎/mLを作成した。 <IFM試験>IFM標準液25mLをプラスチック製容器に入れ、密閉し、蓋に穴をあけ吸引チューブを差し込こみサンプリングした。温度条件として25℃、40℃にて試験を行った。サンプリングには、シリカゲルチューブ及びエアサンプラーを使用し、200mL/分で3時間吸引した。エアサンプリング後のシリカゲルを取り出しメタノール2mLずつ加えて30分振とうした後、3000rpmで15分間遠心分離を行った。上澄液を試料溶液とし、その液5μLについてLC/MS/MS装置を用いてIFMの定量を行った。 〈BDM試験〉。BDM標準液5mLを2本の試験管に入れ、一定時間水浴(40℃及び60℃)中で静置した。1本は吸収液の入ったインピンジャーに接続し、エアサンプラーで吸引、1本は試験管静置のみで行った。定量についてはIFMと同様に行った。 【研究成果】 IFMの揮発量を測定した結果、25℃ : 0.242ng、40℃ : 3.796ngであった。検出量についてはごくわずかであるが、連日抗がん薬調製することを考慮すると継続的な吸入には厳重な注意が必要である。また温度が上がることで揮発量が上昇するので、調製室の温度は可能な限り低い温度で混注することが望ましい。BDMについては試験管及びインピンジャー内の吸収液について分析について吸収液は未検出であった。BDMの分解は非常に早いため分析方法の検討が必要である。
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