2013 Fiscal Year Annual Research Report
六君子の投与による食欲不振改善および食欲改善に影響する因子に関する検討
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25929018
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
樋口 則英 長崎大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 漢方薬 / 食欲改善 / 効果影響因子 |
Research Abstract |
【研究目的】漢方薬である六君子湯は、摂食促進作用があるグレリンとの関連が報告されており、低下した食欲を改善させるという報告がある。六君子湯による食事摂取量の調査や、効果に影響する因子に関して系統的に検討された報告はほとんどない。そこで、六君子湯が摂取カロリーに与える影響について調査し、六君子湯の食欲改善効果に影響する因子について検討を行った。【研究方法】調査期間は2009年10月~2013年3月とし、以下の条件を満たす患者を対象とした。長崎大学病院に入院後に六君子湯が開始され1週間以上継続。六書子湯投与前3日前から経口摂取可能。六君子湯投与前の食事摂取量が低い患者。20歳以上。六君子湯投与1週間前から投与後7日までにがん化学療法・放射線療法・強オピオイドの使用がない。患者背景・臨床所見などは電子カルテから抽出した。さらに、六君子湯投与前の食事摂取量と比べて六君湯投与後の食事摂取量が顕箸に上昇した改善群と、顕著には改善しなかった対照群に分けて、各調査項目について両群間で比較した。本研究は長崎大学病院の臨床研究倫理委員会で承認されている。【研究成果】六君子湯投与後、平均摂取エネルギーは89%の患者で増加していた。 投与後の1日摂取エネルギー量が1000kcalを超えた患者は47%であり、六君子湯投与により摂取カロリーの増加が認められた。しかし、その増加率にはバラツキが認められた。改善群と対照群間では、患者背景に有意な差は認められなかった。対照群と比較すると、改善群では、CONUT scoreが良好である傾向が認められた。本研究の結果から栄養状態が悪化する前に積極的に六君子湯を投与開始することで速やかに食欲改善効果が発現する可能性も示唆されるが、CONUT scoreが確認できた患者数は少なく、正確な結果であるとは言い難い。今後はさらに症例数を増やして検討していく必要がある。
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Research Products
(1 results)