2013 Fiscal Year Annual Research Report
室温下では固化しない特色を活用した超低融点ゼラチンの組織標本作製への応用
Project/Area Number |
25930006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牛田 かおり 名古屋大学, 医学系研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2013
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Keywords | 予備包埋 / 低融点ゼラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】組織標本作製時、マウス脳や胎児など脆弱な組織に対して、損傷を与えることなくトリミングしパラフィンやOCTコンパウンドに正確な方向で包埋する方法のひとつにアガロースを使った予備包埋法がある。しかしこの方法は手軽である一方、アガロースと組織が分離してしまう・融点が高いため熱侵襲の影響が懸念される・手早い操作が必要であることなどの問題点がある。これらを解決するために、室温で溶け、4℃で直ちに固まり、ホルマリン固定後は室温に戻しても液化しない製菓用超低融点ゼラチンを利用した予備包埋法を試みた。 【方法】この実験には、製菓用超低融点ゼラチン:ニッピ(株)MAX-fを用いた。イオン交換水に溶解した5%MAX-fで予備包埋した組織を、10%中性緩衝ホルマリン液(4℃)で固定後トリミングし通常通りパラフィンブロックを作製した。ホルマリン固定時は透明度が高く組織との親和性も良く、ゼラチンと組織が離れることなくトリミングもスムーズに行うことができた。しかし、その後の工程におけるアルコール脱水による収縮が強く、プラスチック様に硬化し薄切が困難となり、エオジンによる背景の染色も問題となった。そこで、MAX-fとアガロースとの混合ゲルを予備包埋に用いて最適条件を検討した。 【結果】室温でゲル化しないそれぞれの濃度をMAX-f 5%、アガロース0.5%と設定し、混合比を検討した結果、MAX-f:アガロース=4:1において収縮やエオジンの染色性も軽減した。この混合ゲルを用いることにより、微小・脆弱な組織を紛失や損壊することなく包埋することができ、方向性を持った組織も手早く正確な包埋が可能となった。
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Research Products
(1 results)