2013 Fiscal Year Annual Research Report
CreリコンビナーゼとAAVベクターを用いた脳回路の局所標識法確立
Project/Area Number |
25930007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 理子 東京大学, 大学院医学系研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アデノ随伴ウィルス / Creリコンビナーゼ |
Research Abstract |
本研究では、in vivo脳において、軸索および樹状突起の伸展を、特定の局所神経回路に着目して克明に可視化する技術を開発することを目的とする。これまで、特定脳領域を部位選択的にウィルス感染させ、全投射束をまとめて染色させることが可能であったが、本研究ではCreリコンビナーゼとCre依存的に発現する蛍光蛋白質をアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターに適用し、単一細胞を可視化し一本一本の突起を可視化する系を構築する。 まず、構成的、あるいは特異的に発現するCreリコンビナーゼ、薬剤投与により時期特異的に機能するCreリコンビナーゼのプラスミドを作成した。さらに、Cre作用後に、1種類のLoxPに挟まれた領域が切り出され、蛍光蛋白質の発現が誘導されるflox型ベクター、および、2種類のLoxPが特異的に反応し、蛍光蛋白質の発現が誘導されるdflox (double flox)型ベクターを作成した。次に、構成的発現をするCreリコンビナーゼとflox型、dflox型ベクターをそれぞれAAVに適用し、脳へ導入した。 その結果、Creリコンビナーゼ発現ウィルスとdflox型蛍光蛋白質発現ウィルスを1x10^9:1x10^<13>のウィルスゲノムコピー数で導入することにより、単一細胞の可視化に成功した。一方、flox型はリークがあり、Cre非発現細胞においても蛍光蛋白質の発現が生じるため、バックグラウンドが高く、個々の細胞の微細な突起構造の描出には適さないことが分かった。また、Creリコンビナーゼが部位特異的発現するトランスジェニックマウスに、dflox型AAVベクターを導入することにより、Cre発現細胞種選択的な細胞標識が可能になることを確認した。今後、これらのAAVウィルスの導入量を用途に応じて、調節し適用することにより、多くの部位、細胞群において単一細胞の突起の可視化が可能になると考えられる。
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