2013 Fiscal Year Annual Research Report
良好胚獲得のための、新規精子調整法の臨床応用の試み
Project/Area Number |
25931010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大井 なぎさ 東京大学, 医学部附属病院, 医療技術職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 体外受精 / 精子選別 / 良好胚 |
Research Abstract |
〈背景・目的〉 体外受精時成績を向上させるためには、良好卵子と良好精子の獲得が必須であるが、精液中に含まれる精子の中から良好精子を選別するための戦略は非常に遅れている。最近新たな精子調整法として、磁気ビーズによりアポトーシスを起こしている精子を除去する方法が開発され、この方法により調整した精子では、アポトーシス率が有意に低下し、また受精能獲得指数、先体反応誘起テストなどの改善を認めることが報告されている。 我々は、良好卵子が得られるにも関わらず良好胚が得られない患者に対しこの手法を臨床応用し新規調整法の臨床における有効性を明らかにし、不妊患者の妊娠成立に寄与することを目的として検討を行った。 〈方法〉 当科で体外受精中の患者のうち過去の治療において良好卵子が4個以上採取され、精子が十分な数得られており、かつ良好胚率が25%以下である患者を対象とした。 該当患者の治療周期において、得られた精液の半分を従来の選別法、半分を新規選別法に供した。良好卵子を無作為に2群にわけ、従来法で選んだ精子を用いて受精を行なった卵子(第1群)と新規手法で選んだ精子を用いた卵子(第2群)の受精率、分割率、細胞数、胚グレードを比較した。 〈研究成果〉 対象となる症例の採卵で回収された卵子のうち授精を行った36個において、受精率、分割率はそれぞれ従来法群(以下1群)で12/20=60.0%、11/12=91.7%、新規手法使用群(以下2群)で13/16=81.3%、13/13=100%, であった。受精後3日目胚の細胞数とVeeckの分類に基づく胚グレードはそれぞれ1群で6.55±0.74,2. 77±0.31、2群で5.54±0.52,2. 96±0.29で、いずれも2群間に有意差はみられなかった。 1群由来胚を移植した1周期は化学流産となり、2群由来胚を移植した周期では妊娠は得られなかった。 今回、2群間に胚分割や臨床成績の差はみられなかったが、2群において受精率が良好な傾向がみられ、新規精子調整法によりより多くの受精卵を獲得できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)