2013 Fiscal Year Annual Research Report
最大エントロピー法を応用した聴性脳幹反応による乳幼児聴覚閾値推定法の開発
Project/Area Number |
25931011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大江 宏康 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 聴性脳幹反応 / 聴覚閾値測定法 / 最大エントロピー法 |
Research Abstract |
研究成果の概要 新生児・乳幼児における聴覚閾値測定時のABR(聴性脳幹反応)波形のリサンプリング、トレンド除去および数学的手法である最大エントロピー法によるスペクトル解析により、ノイズの影響を受けないABR聴覚閾値測定法を確立した。一連の解析手法により、刺激音圧による基線の動揺、ランダムノイズ、交流障害などABR記録波形に重畳するノイズ成分を同定し、フィルター特性に依存しない精度の高い選択的なノイズ除去を可能にした。 研究成果の意義と重要性 本法によるABR記録は、従来、計測が不可能であったABR波形の正確な頂点振幅の計測を可能にした。特に、聴覚閾値測定における刺激音圧強度変化に対するV波反応振幅の推移を正確に記録できるようになった。その結果、従来の方法では知ることのできなかったV波の音圧閾値特性を明らかにすることができた。刺激音圧に対するV波の振幅変化は、最大上刺激レベルの音圧では必ずしも直線的な反応を示さないが、聴覚閾値の音圧レベルに近づくにしたがい漸次線形性を呈することがわかった。この音圧特性は、I波やその他の頂点振幅には認められず、V波特有の性質であることが判明した。これにより、聴神経、蝸牛核、下位・上位脳幹に至る活動電位の伝達過程において一定の規則をもった修飾を受け、ABRの各波形成分の反応特性が異なっていることが明らかになった。 研究成果の臨床応用 健常新生児・乳幼児のABR聴覚閾値測定において、閾値領域の音圧レベルでのV波の線形音圧特性を応用することにより、理論上、わずか4回の測定で聴覚閾値を推定することが可能であった。これにより検査所要時間を従来法の3分の1に短縮でき、本法における技術の臨床応用により睡眠剤を用いた新生児・乳幼児の検査時の負担を大幅に軽減することが期待された。
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Research Products
(1 results)