2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25931013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
影山 祐子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / 肝再生 / S1P_2 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸(sphingosine 1-phosphate : S1P)は細胞増殖や運動, 分化など様々な応答を引き起こす脂質メディエーターである. その受容体としてG蛋白質共役型受容体S1P_<1~5>が知られ, 各組織や細胞での様々な作用が解明されてきている. 肝臓では受容体S1P_1, S1P_2, S1P_3が発現している. 過去の報告から, 肝再生において, S1Pは抑制的に作用し, 肝再生の終止機構に関与することが示唆された. また部分肝切除後のマウスにおいて, 受容体S1P_2およびS1P合成酵素(Sphingosinekinasel ; Sphkl)のmRNA発現が再生早期に上昇することがわかった(未発表データ). この結果をふまえ, 本研究ではさらに肝再生のメカニズムにおけるS1Pの関与について解明し, S1P_2アンタゴニストやS1P合成酵素阻害薬を用いることによって, 肝再生過程がどう変化するか, その効果を検討することを目的とした. マウスの肝再生過程において, 70%肝切除後1日でSphkl発現が上昇することから, S1P合成酵素阻害薬(Dimethylsphingosine : DMS)を切除1時間前までに正常マウスに投与し, その後肝切除を行った. 切除後1日の肝組織についてPCNA染色を行ったところ, コントロールと比べ, 0.1mgDMS投与で肝再生が亢進した. 0.5mgDMS投与では亢進が認められなかったが, これはDMS溶媒(アルコール)による肝毒性が考えられ今後検討が必要である. 肝組織中のS1P濃度は肝切除後1日で有意に上昇したが, DMS投与による変化は認められなかった. 脂肪肝モデルマウスは, 肝再生不全を引き起こすことが知られている. これまでの検討から, 再生不全の場合, 切除前でのS1P_2およびSphklの発現亢進が予想されたが, db/dbマウスについて, 肝切除前のS1P_2 mRNAおよびSphkl mRNA発現を調べたところ, 正常マウスと比較して減少もしくは差が認められなかった. よって少なくともdb/dbマウスの肝再生メカニズムにはS1Pが関与していないことが考えられた.
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