2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア由来クレアチンキナーゼの肝細胞癌に対する腫瘍マーカーの可能性
Project/Area Number |
25931028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
揃田 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ミトコンドリア型クレアチンキナーゼ / 肝細胞癌 / 慢性C型肝炎 |
Research Abstract |
ミトコンドリア型クレアチンキナーゼが肝細胞癌の患者血清で有意な上昇を示すことは既に報告している。(Soroida et, al. Journal of Hepatology 2012)肝細胞癌は慢性肝疾患から発生する。予後改善には早期発見することが重要でありすぐれたバイオマーカーの発見が急がれる。我々の研究ではミトコンドリア型クレアチンキナーゼは肝細胞癌の早期発見に既存の腫瘍マーカーよりも優れた診断能を有していることがわかった。以前の報告では慢性肝疾患でもミトコンドリア型クレアチンキナーゼは肝細胞癌よりは低いものの上昇することが報告されており今回我々はミトコンドリア型クレアチンキナーゼの肝細胞癌の腫瘍マーカーとしての役割をより明確にすることを目的とした。 171人の慢性C型肝炎の患者を対象とした。血清ミトコンドリア型クレアチンキナーゼは血清アルブミン、血小板数、肝硬度、AST、ALTと有意な正の相関関係を示した。胆管結紮した肝硬変のマウスの肝細胞ではユビキタスミトコンドリア型クレアチンキナーゼのmRNAが発現していた。平均2.7年の観察期間で21人が肝細胞癌を発症した。肝細胞癌を発症した患者の血清ミトコンドリア型クレアチンキナーゼは発症しなかった患者に比べて有意に高かった。また、カットオフを9.0U/Lとした時の感度は61.9%、特異度は92.8%で既報とほぼ同等の成績が得られた。また肝硬度が15kPa以上の患者のうちミトコンドリア型クレアチンキナーゼが9.0U/L以上の患者では発癌した患者が有意に多かった。 結論として、血清ミトコンドリア型クレアチンキナーゼは肝線維化と肝細胞のダメージと相関関係にある。血清ミトコンドリア型クレアチンキナーゼの上昇はC型肝炎患者における肝細胞癌発癌の独立したリスクファクターである。
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Research Products
(2 results)