2013 Fiscal Year Annual Research Report
広汎性発達障害に併存する気分障害の早期発見のための投影法に関する検討
Project/Area Number |
25931029
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹之内 美希 愛媛大学, 医学部附属病院, 心理士
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 広汎性発達障害 / 投影法 / 気分障害 |
Research Abstract |
【研究目的】広汎性発達障害(PDD)児に併存した気分障害を早期に検出できる, 投影法による心理検査バウムテストの指標を明らかにすることを目的とした. 【研究方法】愛媛大学医学部附属病院精神科を受診したPDD児27名(M : F=22:5, 平均10.0±2.6歳)と適応障害(AD)児24名(M : F=3:21, 平均13.4±1.9歳)を対象に, バールソン児童用抑うつ性尺度(DSRS-C)とバウムテストを実施した. 対象を①全PDD児と全AD児②主治医が抑うつ状態ありと判断したPDD児11名とAD児18名③主治医が抑うつ状態ありと判断したPDD児11名とないと判断したPDD児16名に群別し, DSRS-C得点とバウムテストの表現特徴について比較検討した. 【研究成果】 ①PDD群とAD群の比較 DSRS-C得点の総点の平均値はAD群で有意に高値だった. バウムテストではPDD児群に発達指標項目の出現総数, 幹下直, 幹上直項目が有意に多かった. ②PDD(抑うつ+)群とAD(抑うつ+)群の比較 DSRS-C得点の平均値はAD(抑うつ+)群で有意に高値だった. バウムテストでは, 臨床心理士による印象評定で両群に有意差はなかったが, 筆圧の変化がPDD(抑うつ+)群で有意に多かった. ③PDD(抑うつ+)群とPDD(抑うつ-)群の比較 DSRS-C得点の総点の平均値は両群で有意差はなかった. PDD(抑うつ+)群でバウムテストの筆圧変化と, 気分の落ち込みの指標の総数が有意に多かった. 【考察】 PDD児の抑うつ状態はAD児のそれと比して, 自記式抑うつ尺度DSRS-Cより, 投影法であるバウムテストにおいて, より検出される可能性が示された. PDD児では発達指標が出現する可能性があるものの, バウムテストの指標, 筆圧の変化および気分の落ち込みの指標が, PDD児の抑うつ状態の検出に有用な指標となると思われた.
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Research Products
(1 results)