Research Abstract |
〈目的〉抗菌薬耐性菌の疫学的解析に併せ, Biofilm 形成能との薬剤感受性検査への影響明らかにすることを目的とする. 〈対象・方法〉当院にて2011年から2013年に各種臨床材料より分離同定されたランダムに抽出した E. coli16株 (CTX-M9 group ESBL 産生菌7株, CMY-2βラクタマーゼ産生株9株) を対象とした. Phylogenetic groupはCleermontらの方法を, プラスミドreplicon型解析はJohnsonらの方法を用いた. Biofilm形成はO'Tooleらの方法を用い, 終濃度0.1%のクリスタルバイオレットにて染色後, 吸光度570nmのOD値をMoretroらの方法により評価した. Biofilm形成能陽性株について, Moskowitzらの方法を用いBiofilm inhibitory concentration (BIC)の測定した. 〈結果〉1) Phylogenetic groupは, B2型が多数を占め, ESBL産生株4株, CMY-2産生株5株であった. プラスミドreplicon型解析は, ESBL産生株およびCMY-2産生でInc FIA型, I1型が多数を占めた. Phylogenetic group B2型は, 多くがInc FIA型であった. 2) Biofilm形成能は, 1株のESBL産生株がweak formerであった. MICとBICを比較すると, CAZ, CFPMで4管差, FOMでは7管差耐性側にシフトした. β-lactamase阻害剤含有抗菌(TAZ/PIPC, SBT/CPZ, AMPC/CVA,), カルバペネム系抗菌薬(IPM, MEPM, DRPM)では, BICが1~2管差耐性側にシフトしていた. 〈考察・結論〉Phylogenetic group B2型, Inc FIA型の分離頻度が高いことから, 薬剤耐性E. coliでの監視が必要である. また, β-lactamase阻害剤含有抗菌とカルバペネム系抗菌薬では, Biofilm BICが1~2管差の耐性側へのシフトであり, Biofilmの影響は少ないと推測される. しかし, 同一患者より複数回E. coliが分離され症例のうち, CAZ, CFPM やFOMの薬剤感受性が耐性傾向にある場合は, Biofilm形成の影響を考慮する必要がある.
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