Research Abstract |
【プロジェクト等の成果】 ○ファントム作製 : ファントムのスポンジに塗布する水性造影剤の量(xml)と, 最外部のワックスに混和する油性造影剤量(yml)を変化させて試作ファントムを作製した. 人体から得た手根骨のx線画像を基準とし, 最良となるx, yを決定した. 指標は骨梁やファントム全体のコントラストとした. その結果, x=0.2ml, y=0.1mlとなった. ○骨折線検出能の比較 : 単純X線撮影(radiography)による2方向(2R)および4方向撮影(4R), トモシンセシス(tomos)による2方向撮影画像の評価結果によりROC曲線を算出した. 曲線下面積(AUC)は2R, 4R, tomosでそれぞれ0.67, 0.75, 0.8となった. 2R-4R間, 4R-tomos間は有意水準5%のとき有意差があった. 従って, tomosの骨折線検出能がradiographyより有意に高いことが示された. また, 2R, 4R, tomosの感度-特異度は54-63%, 59-63%, 73-76%となった. 【本研究の意義】 本作成法は様々な骨折線を想定でき, モダリティの検出限界を引き出すことが可能である. また, CTなど他モダリティにも転用可能である. 経験年数(1~3年および4~27年)で観察者を分けROC曲線を算出した. AUCの差は4Rとtomosでそれぞれ0.05, 0.03であった. 従って, tomosは読影能力の差を軽減する可能性が示唆された. しかし, 偽陽性率は4Rで37%, tomosで24%だった. radiographyとtomosで最も評価に差が生じた骨折方向は, 手根骨の水平面に並行な骨折線であった. これはtomosにより偽陰性を低下させたためである. しかし, tomosでもX線束軸に接線とならない骨折線は描出困難であった. 以上より, 試作ファントムの有用性, およびtomosの骨折線検出能を確認できた.
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