2013 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞における転写因子異常が発症及び進行に及ぼす影響
Project/Area Number |
25931055
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
南木 融 筑波大学, 附属病院検査部, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NF-κB遺伝子 / 造血器腫瘍 / 治療効果の評価 |
Research Abstract |
(研究目的) 造血器腫瘍の生命予後は、化学療法の進歩や造血幹細胞移植の導入により飛躍的に改善している。現在、造血器腫瘍は形態学的な特徴等に基づいて分類され、治療法が選択されている。しかし、同じタイプの病型であっても、化学療法剤の反応性、副作用、骨髄移植の定着率、再発における個人差が非常に大きい。こうした個人差をもたらす要因については、十分に解明されていない。最近、転写因子の異常が、白血病など造血器腫瘍の発症に関係することが明かとなり注目されている。造血器腫瘍においては、造血器腫瘍の発症以外にも、再発、薬剤感受性などにも影響を与えている可能性が高いものの、十分に検討されていない。 本研究では、転写因子であるNF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー、核内因子κB、nuclear factor-kappa B)と造血器腫瘍の発症と治療効果との関連性について検討を行った。 (方法) Real-time PCR法(ABI 7900)を用いてNF-κB遺伝子の発現を定量的に解析する系を構築した。②K-562細胞に慢性骨髄性白血病の治療薬であるグリベックを添加(濃度 : 50・500・5000ng/μ1)し6h、24h、72h細胞を刺激後、細胞よりRNAを抽出しNFκB遺伝子の発現を解析した。 (結果及び考察) K-562細胞のNFκB遺伝子の発現は健常人より低値を示した。また、グリベック添加後6h、24h、72hと時間が経過するにつれて、濃度依存性にNFκB遺伝子の発現は高値を示した。これらの結果より、白血病化した細胞に治療薬を加えることで、NFκB遺伝子の化現が高値を示した事より、NFκB遺伝子の発現と治療効果との間には何らかの因果関係があることが示唆された。しかし、NFκB遺伝子の解析が治療効果の評価について有用であるかについては、今後、患者検体を用いて検討を行う必要がある。
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