2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞シート工学を利用した骨髄間葉系幹細胞と膵臓細胞の共移植
Project/Area Number |
25931056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平原 正隆 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 社会人大学院生
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 膵島 / 骨髄間葉系幹細胞 / 細胞シート |
Research Abstract |
背景・目的 : 膵島細胞移植は1型糖尿病に対する低侵襲医療であるが移植細胞の生着率は低い。その原因は移植局所の低酸素、門脈内に移植した際グラフトの80%が失われる移植早期グラフト消失(IBMIR)、免疫応答等、報告されている。近年、骨髄由来間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells (MSC))と膵島細胞の共移植が注目され、その有用性が明らかにされつつある。MSCは血管内皮細胞へ分化するのみならずVEGFを多量に分泌し、虚血組織のapotosisを防ぐといった特徴を持つ。本研究は移植膵島への早期血管誘導やMSCによる保護効果を目的とするもので、細胞工学によって作製したMSCシートと膵島細胞を共移植し効果を検討する。 研究方法 : (1)MSC分離 : 8週齢F344ラットより骨髄間葉系幹細胞を分離。(2)膵島細胞分離 : 12週齢F344ラットより消化酵素にて膵を消化。濃度勾配法にて膵島細胞を単離。(3)MSCシートと膵島細胞の共培養 : 温度応答性培養皿にてMSCシートを作製。その後膵島細胞を播種し、48~72時間後に低温処理を行い共培養シートとして回収。MSCシートと共培養した膵島のRecovery rate、Viability、Insulin stimulate index (ISI)、サイトカイン(VEGF, HGF, TGFβ1, IL6)を測定。(4)移植 : 7週齢SCIDマウスにSTZを腹腔内投与し糖尿病モデルとする。膵島単独・膵島+MSC・膵島+MSCシート皮下移植群の3群を作成し血糖値を測定、組織学的評価を行う。 研究成果 : Recovery rate (77.0±3.2% v.s. 56.4±3.2%), Viability (98.6±0.4% v.s. 83.8±4.1%), ISI (2.2±0.1 v. s. 0.6±0.1)は膵島+MSCシート群で膵島単独培養群に比べ有意に改善しており、培養液中のサイトカイン(VEGF (16.9±1.0ng/ml v.s. 4.9±0.5ng/ml), HGF (388±49pg/ml v.s. 162±16pg/ml), TGFβ1 (2.0±0.06ng/ml v.s. 1.2±0.01ng/ml), IL6 (799±37pg/ml v.s. 109±10pg/ml))も有意に高値であった。また移植を行った前2群では良好な血糖改善効果を認めなかったが、膵島+MSCシート皮下移植群では全例が1週間以内に正常血糖化し、84日間にわたって正常血糖値を維持し続けた。さらに移植後28日目に犠牲死させ皮下の血管新生を評価したところ、MSCシート移植群では有意に血管数の増加を認めた。
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Research Products
(1 results)