2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25934017
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Research Institution | 兵庫県立スポーツ交流館 |
Principal Investigator |
増田 和茂 兵庫県立障害者スポーツ交流館, 専門員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 車いすマラソン / 障害者スポーツ / 練習器具 |
Research Abstract |
車いすマラソンでは、最高速度の向上やホイールを回すフォームの習熟を目的に下り坂を下るという練習を行うことがある。この練習の目的は、現時点の最高速度を上回る速度を体験することであるが、このような速度での走行は転倒や衝突などを招きやすく危険である。そこで、本研究課題では、選手自身だけでは到達できない速度を安全に経験するための機器として、電動モータを組み込んだローラー台を開発した。 従来のローラー台は、選手がホイールを回転させるとホイールに接しているローラー台が回転することで、その場で車いすを漕ぎ続けられるようにするものであった。開発したローラー台は組み込まれているモータでローラーを回転させることで、ローラーに接しているホイールを回転させ、選手に下り坂を下っている状態を擬似的に体験させる。 開発したローラー台の臨床評価は兵庫県立障害者スポーツ交流館で行った。来館している選手達からは「ホイールが自動的に回転するのは下り坂に似ているが、走行感覚は全く異なる」との感想を得た。映像による検討の結果、従来のローラー台では手部の1ストローク中にホイールの回転速度は変動(手部がホイールを押すときに加速、手部がホイールから離れると減速)しローラーの回転も同期しているが、開発したローラー台ではローラーの回転速度が一定であるため、手部がホイールを押してもホイールの回転速度を変化させるのが困難であるため、実走とは異なる感覚を感じたと考えられる。上記の事柄から、開発したローラー台は、手部はホイールに添えるだけとしたフォームを回転速度に慣れさすための練習に用いることが適切であることが分かった。また、開発したローラー台を用いた練習を介して、フォームの評価は身体の器質による影響が大きいストロークの周期や各関節の角度といった指標に加えて選手が発揮しているトルクや心拍数といった指標が重要であることが示唆された。
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