Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 拓夫 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (90447425)
杉山 正和 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90323534)
小関 泰之 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (60437374)
肥後 昭男 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (60451895)
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Outline of Annual Research Achievements |
(1) 量子井戸型偏波制御器の設計と試作 光波合成回路上での偏波状態制御を実現するハーフリッジ型偏波制御器の効率改善に向けて, 量子井戸型変調部と偏波変換部をバットジョイント再成長法によりモノリシックに集積することに成功した. その結果, 量子井戸層に電流注入を行うことで高効率かつ高速な偏波制御が実現できることを実証した. (2) 偏波解析素子の設計と試作 前年度に提案した偏波アナライザ集積素子の応用可能性を検証するために, 高速ストークスベクトル変調信号の復調実験を行った. 並行して, 量子井戸型受光素子を搭載した完全にモノリシックな集積回路を完成させた. 現在試作した素子の評価を進めているところである. (3) 光波合成チップの設計と試作 前年度までに開発した光波合成回路のロバスト動作を実現する上で, ランダム信号を用いて. 駆動する新規手法を提案し, 数値解析および原理検証実験により有効性を明らかにした. 同時に, 出力光の高出力化に向けて, 光増幅器をモノリシックに集積した素子の設計と試作を行った. 並行して, 超高密度回路の実現に向けて金属を用いた微小プラズモニック光源を開発し, 発振動作を実証した. (4) ユニタリ変換チップの設計 前年度に設計した4×4ユニタリ変換チップを試作し, 素子を完成させた. 現在試作した素子の評価を進めている. また, 作製誤差に対して耐性のある新規構造を新たに考案し, 数値解析によりその有効性を明らかにした. 同時に, 10×10ユニタリ変換チップの設計を行い, 試作を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度中に目標としていた偏波制御器と偏波解析器の試作実証, および, アクティブ素子とのモノリシック集積については, 概ね予定通り成果が得られている. また, ユニタリ変換素子についても, 前年度に考案した干渉計型カプラを用いた構成の有用性を数値解析により実証し, 4×4素子の試作に成功している. 10×10素子の設計も終えており, 今後順調に開発が進むと見込んでいる. 一方, 光波合成素子に関しては, 当初予定していた駆動方法では, 大規模化に伴い素子の作製誤差や使用環境による影響が大きくなることが分かり, 見直しを行った. その結果, ランダム信号を用いて駆動するという新しい手法を編み出し, 有効性を実証することに成功している. 本方式を用いることで, 素子の構造が大幅に簡略化できることが明らかになっており, 今後試作が順調に進む予定である. 以上の結果として, 平成29年度以降, 各種大規模光回路の試作から評価までのプロセスを円滑に進められる環境が整っている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に, 偏波解析素子の実証に成功した一方で, 回路内の偏波依存損失の影響が生じてしまうことが明らかになった. 4本の出力ポートに搭載する偏波変換部の設計を見直すことで, 受信感度を最大化しながら, 偏波依存損失の影響を補償できると期待している. 偏波制御素子に関しては, 過剰損失の低減に向けて, オフセット量子井戸構造による素子を新たに設計し, 試作を行う. さらに, これまでに実証した偏波制御素子と能動素子のモノリシック集積を目指す. 光波合成回路に関しては, これまで45°ミラーを集積することで二次元アレイ化を目指していたが, このアプローチでは, アレイ規模と分解能に対して限界が生じることが判明した. そのため, 今後は, 回折格子結合器を集積する方式にも併せて取り組み, 性能を比較することで, 最適な手法を見極める. 同時に, 高出力化に向けて, 前年度から開始した光増幅器集積型素子の最適化を進め, 試作を行う. さらに, 前年度に開発したランダム駆動方式の検証を進め, 素子構造の簡略化を図ることで大規模を目指す. その上で, 光イメージングやLIDARなど, 実用システムへの応用可能性を検証する. ユニタリ変換素子に関しては, 前年度に作製した4×4回路の評価を行い, 初めて実験的に実証することを目指す. また, 平成28年度に購入した多モード励振用フォトニックランタンを用いたシステム実験を行うことで, 空間モード多重光通信システムへの応用可能性を検証する. 並行して, 10×10回路の素子の試作を開始し, 今年度中に完成させることを目指す. 以上により, 光波合成回路およびユニタリ変換回路の試作と評価を効率良く行う予定である.
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