2016 Fiscal Year Annual Research Report
Large-Scale, Tempo-Spatial Information Gathering Mechanism over DTN-enabled Distributed Micro-modules
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26220001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東野 輝夫 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80173144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 高朗 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10346174)
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (40273396)
内山 彰 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70555234)
山口 弘純 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80314409)
廣森 聡仁 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (90506544)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 無線通信ネットワーク / 時空間データ / 遅延耐性ネットワーク / 分散システム / 災害支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 都市街区で得られる4G/WiFiなどの無線信号、およびスマートフォン内蔵の加速度センサ、マイク、カメラ、人感センサなどのセンシング情報、当該街区の携帯利用者数情報やプローブカー情報などを解析して得られるマイニング情報を併用し、都市街区の人や車の動きをリアルタイムかつ高精度に推定する群衆センシング技術を開発した。特に、(a) ビルなどの屋内空間における個人や群衆の高精度トラッキング技術、(b) 屋内・都市街区や公共交通機関におけるインフラ低依存型のトラッキングおよび状況理解技術、(c) モバイルセンシング情報の共有・集約技術などを開発し、その成果をIEEE Transactions誌(採録決定)やモバイル系難関国際会議ACM MobiSys 2016などで発表した。 (2) マイクロモジュール間通信機能や超分散型の時空間情報集約機能を都市環境で効率よく動作させるための実装技術を開発した。災害マップの構築は、災害時の広域通信の非可用性により困難になるため、(d) クラウドに相当する計算基盤をマイクロモジュール間で局所水平的に提供する仕組みや、(e) マイクロモジュール通信のための基地局最適化やエッジコンピューティング技術を開発すると共に、(f) 遅延耐性ネットワーク(DTN)上での計算基盤の実現技術と同基盤上で動作する災害地図の自動生成・安否確認等のシステムアプリケーションの開発を行った。また、それらの成果をComputer Communications 誌や幾つかの国際会議などで発表すると共に、米国NSF主催のCPS PI会議やIEEE iEECON2017国際会議での招待講演を実施すると共に、2017年度のIEEE SMARTCOMP 2017国際会議での招待講演の実施や分散システムに関する難関国際会議IEEE ICDCS2017での論文採択などの成果を創出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では目標達成のため、以下の(1)~(6)の実現を目指した幾つかの研究を行うことを計画していた。 (1) 周辺のセンシング情報に加え、当該街区の携帯利用者数情報やプローブカー情報などを併用し、都市街区の人や車の動きを群集・車群とみなした新しい群衆センシング技術を開発する。(2) 屋内環境での群衆センシング技術をより動的で雑多な屋外環境でも適用できるように拡張することで、地下街やモール、オフィスなどの環境でも利用可能な群衆センシング技術を開発する。(3) 災害発生時に自律的に近隣マイクロモジュールの生存状況をリアルタイム把握する技術や、お互いの基地局が対象領域内のどの部分のマイクロモジュール群と通信可能で、どの部分のマイクロモジュール群と通信不能かを自律的に把握できるようにする技術を実現する。(4) プローブカー情報や携帯利用者情報などから、平常時の各曜日各時刻の各領域の平均的滞在人口や滞在車両数を見積もり、利用可能な無線基地局などから得られる情報をもとに、ネットワーク資源の枯渇している領域やマイクロモジュールが不足している領域を把握し、マイクロモジュールの最適追加配置や最適ルート巡回などを実現する技術を実現する。(5) 多様な属性や種別の時空間情報をマイクロモジュール群が局所地域レベルで自律適応的に収集する技術を実現する。(6) 局所的に生成された意味あるデータをさらに広域レベルで自律的かつ超分散的に集約することで、数万人規模の都市街区での災害関連情報の共有を可能とする技術を開発する。 いくつかの技術課題ならびにそれに基づく実証実験を残すものの、計画していた上記(1)~(6)の研究課題は概ね順調に解決してきており、予定通りの成果が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降、次のような3つの課題に取り組む予定である。 ・屋内空間における高精度トラッキング技術と都市街区や公共交通機関におけるトラッキング・状況理解技術のシームレスな連携、効率化および省エネルギー化 ・ノードならびにデータの偏在性、モビリティの偏向性がもたらす課題とそれに対する堅牢で柔軟なフレームワークの構築 ・マイクロモジュール間通信機能や超分散型の時空間情報集約機能を都市環境で効率よく動作させるためのシステムの完成と適切な実証実験場所の確保 これまでの達成状況を考慮すれば課題量は妥当であるものの、災害時における時空間的に不完全かつ偏向性の高いデータやインフラのもとでの堅牢かつ適応的な集約基盤機能の実現には、これまでの分散コンピューティングの実績と知見を動員して取り組む必要がある。特に不完全な計算結果が全体の計算結果の整合性にもたらす影響を早期に定量化し、そのモデルに基づく理論的な知見を与える必要がある。 本研究で開発する包括的プラットフォームは、まず大阪大学吹田キャンパスでの実証実験を目指した取り組みを実施する予定である。吹田キャンパス内の数十台の固定カメラやLIDAR、ドライブレコーダー、Androidスマートフォンなどを併用して実現する。実証実験では、携帯電話網が部分的に機能しなくなった場合を想定し、(1) 安否確認メッセージの家族・知人間での伝達、(2) 写真や動画を含む災害関連情報の災害対策本部等への収集、(3) 各エリアでの人流センシングに基づいた実時間避難誘導情報の生成と被災者への伝達、などの実証実験やシミュレーション実験を行う。複数のマイクロモジュールを対象環境に配置し、十数名のモバイルユーザにより人や車のモビリティ収集実験を行う。さらに、平常時の学生や教員への情報伝達基盤を構築することで、災害時のみならず平常時にも活用可能なシステムの実現を目指す。
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Research Products
(26 results)