2017 Fiscal Year Annual Research Report
Advancement of HPC Applications for Manufacturing Technology to Exascale
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26220002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
下川辺 隆史 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (40636049)
高木 知弘 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (50294260)
滝沢 研二 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60415809)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | ものづくり系アプリケーション / Time to Solution / 陽解法 / 弱圧縮性流体計算 / 気液二相流解析 / AMR / GPU |
Outline of Annual Research Achievements |
① AMR法を適用した複雑形状物体を含んだ非圧縮性単相流体(乱流LES)シミュレーション:格子ボルツマン法により、複雑形状を含んだ物体回りの流れとして、複数台の自転車を含む競技を想定した流れのシミュレーションを行った。計算のTime-to-Solutionを大幅に短縮するAMR法を適用した。また、検証として行った球周りの流れでは、レイノルズ数が50万程度で抗力が急激に低下するドラッグ・クライシスを再現することができた。 ②マルチ・フェーズフィールド法による動的領域分割:粒成長を並列計算の領域分割に適用し、時間発展させることで各領域の体積(計算負荷)を均一にしつつ、各領域が凸形状になるようにトポロジー最適化が行えることを確認した。これまでのスライス・グリッド法や空間重点曲線による領域分割と比較し、領域間通信量を低減できることを確認した。 ③AMR法による気液二相流シミュレーション:Octreeベース細分化によるAMRを用いて最細格子を気液界面に適合させ、弱圧縮性流体計算による気液二相流計算を行うことができるようになり、均一格子を使う場合と比較して1/100の格子点数で計算することができた。 ④流体-構造連成問題:物体適合格子における要素の消滅および出現させる手法を開発した。この手法の自由度を増すため、接触物の間に互いにスライド可能なメッシュに分割する手法を提案した。これにより接触位置が互いに変わる状況も再現できるようになり、これまでの物体適合格子の並列効率を保つことができる。 ⑤フェーズフィールド法による凝固と粒成長のシミュレーション:強制対流下で成長するデンドライト形態変化を詳細に検討した。また、自然対流を伴うデンドライト凝固シミュレーションを行い、自然対流が凝固組織を大きく変えることを明らかにした。800 GPUを用いた世界最大の理想粒成長シミュレーションを行い、理想粒成長の統計的挙動を初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
どの項目も当初の計画に対して十分な達成度である。特にAMR法を格子ボルツマン法による単相乱流計算および弱圧縮性流体計算による完全陽解法の気液二相流シミュレーションに適用することができたことは、Time-to-Solutionを短縮する目的を大きく前進させた。 一方、本研究の申請時には、2019年頃にはエクサスケールのスパコンが国内にも登場するであろうという予測が多くの研究者の間で共有されていた。残念ながら、予想に反しスパコンの性能向上の速度は全世界的に鈍化し、中国のスパコン以外では100ペタ・フロップスを超えるスパコンは登場していない。現時点でエクサスケールのスパコンに使われるであろうと予想されているGPUスパコンは、東京工業大学・学術国際情報センターのTSUBAME3.0が国内では最大規模であり、2017年8月から利用可能になっている。しかし、ピーク性能は12.15ペタ・フロップスに留まり、当初の期待ほどではない。エクサスケールのものづくりアプリケーションを見通すには、TSUBAME3.0のGPUスパコンを利用して研究を進めることが現状では最善であり、HPCIおよびJHPCNの公募型研究に本科研費の研究テーマの課題がそれぞれ採択され、平成30年度に実施することになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の残りが1年となり、これまでの研究成果を集大成することにより当初の研究目標を上回る成果を目指す。AMR (Adaptive Mesh Refinement) 法は、ものづくりの観点で非常に有効であり、AMR法を適用した弱圧縮性流体計算手法による気液二相流計算のGPU実装を進め、さらに複数GPUを用いた大規模計算を行う。また、格子ボルツマン法による自由界面を含む乱流解析にもAMR法を適用し、最終的にはエクサスケールを見通せる大規模計算を実施する。 動的なAMR法は単一GPUでの実装が複雑なだけでなく、複数GPUを用いるための動的な領域分割も必要となる。複数GPUを搭載するノードの計算負荷を均一にするだけでなく、領域間通信を最小化させるような動的な領域分割が必要になる。昨年度から開始したマルチ・フェーズフィールド法のトポロジー最適化による領域分割法をさらに進め、基礎方程式の右辺に計算負荷を均一化させる項とフェーズ間の通信量を均一にする項を加える。この方程式を時間発展させることにより最適な領域分割形状を求める。さらに、領域分割自体の計算負荷をできる限り少なくし、実アプリケーションであるAMR法による弱圧縮性気液二相流計算と自由界面を含む格子ボルツマン法のAMR乱流計算に適用し、スケーリングを検証する。 液膜ダイナミクスの解析はAMR法を適用しないと計算がほぼ不可能であり、これまで全く数値シミュレーションは行われていない解析領域であり、弱圧縮性流体計算手法の気液二相流計算を実施し、大きな研究成果を目指す。また、凝固解析にも界面にAMR法を適用することは非常に有効であり、フェーズフィールド法と格子ボルツマン法を連結させた相変化を伴う流れの大規模シミュレーションを行う。 以上をまとめ、ものづくりHPCアプリケーションのエクサスケールへの見通しを立てる。
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Research Products
(89 results)