2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージングを基軸とする生細胞内分子計測・光操作法の開発
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26220805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 岳昌 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 早苗 北海道大学, 保健科学研究院, 博士研究員 (60706505)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 生体材料 / 可視化 / 光操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1では,細胞内在性テロメアRNAを1分子で可視化するプローブを開発した.RNA結合タンパク質PUMに変位を加え(mPUM),その結合定数がnMオーダーであることを確認した.mPUMに分割したGFPを連結したプローブを作製し,内在性テロメアに特異的に結合することを実証した.さらに全反射蛍光顕微鏡を用いることにより,1分子のテロメアの動態を可視化することに成功した.平行して,ミトコンドリアからのSmac放出を,分割蛍光タンパク質の再構成法により可視化するプローブを開発した.HeLa細胞とゼブラフィッシュ培養細胞を用いて,UV刺激によりSmacが放出されると,細胞が蛍光性になることを実証した.開発したプローブを発現するゼブラフィッシュのトランスジェニック体を作製中である. 課題2では,細胞内キナーゼ(Akt)の定量的な光制御技術を開発した.Aktの細胞内局在を光制御するために,光感受性タンパク質CRY2およびCIB1を活用した.青色光の照射回数にともない,Akt活性が上昇することを確認した.このAktの活性化を光で定量的に操作するために,Aktの時間的な活性を記述する数理モデルを構築した.Western blotによる実験データに基づき,人工光感受性Aktの活性の時間的な変動を表す数理モデルの構築に成功した.実験結果とシミュレーション結果との比較検討から,Aktの活性化メカニズムにポジティブ・フィードバック活性化機構が関与することを新たに特定した.同様の原理に基づき,神経細胞の軸索伸長方向を制御する技術開発を行った. 課題3では,GPCRの光制御技術を開発した.GPCRとbeta-arrestinとの相互作用を,CRY2とCIB1を利用することにより,外部光によって制御できることを実証した.GPCRの細胞内局在の変化と細胞内シグナル活性を定量的に評価し,beta-arrestinの寄与を特定することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1では,テロメアRNAを可視化するプローブ開発が当初の予定より早期に終了しており,生細胞内テロメアRNA1分子観察に成功した.これまでの常識とは異なるテロメアRNAのダイナミックな動きを観察しており,統計的解析を進めている.テロメアRNAの機能に関する新たな知見が今後期待できる成果である.課題2ではAktの光制御技術が早期に終了し,当初の計画通りの成果を得ることができた.この技術を基盤として,その発展研究を進めている.具体的には,神経細胞の軸索伸長方向を制御するDCC膜リセプターの多量体化を光で制御する技術開発を進めており,神経初代培養細胞を用いて良好な結果を得ている.将来的には,動物個体での神経ネットワークを光で人工的に構築することを目的とした応用を展望して研究を展開している. 課題3では,GPCRを特異的に阻害する化合物の同定に成功している.化合物ベースの光制御技術と合わせて,GPCR―βarresin相互作用を直接光制御する技術開発に着手し,良好な成果が得られている.GPCR阻害剤とは異なる細胞内シグナル活性が得られており,学術的に興味深い結果を蓄積する段階にある.以上より当初の計画以上の進捗が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
課題1では,テロメアRNAの1分子観察データを蓄積し,テロメアRNAとそれに関連するタンパク質との多次元情報取得を目的とした研究を行う.テロメアの活性調節機構に重要な知見を得ることを目的とする.また,ミトコンドリア膜上のBak凝集体のBak分子計測技術を確立し,Bak関連タンパク質への応用展開を図る. 課題2では,DCC光制御技術を線虫個体に応用し,動物個体での神経細胞軸索伸長の光制御を実現する.そのために,光制御ツールを発現するトランスジェニック個体の作製を早期に着手し,神経軸索伸長を個体内で実現可能にする. 課題3では,GPCR阻害剤のキャラクタリゼーションをさらに進めるとともに,光制御技術で得られる結果の相違について,定量的なデータ取得ならびに解析を進める.GPCR活性の制御と細胞内シグナル活性との相関を解明することも目的とする.
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] p62/SQSTM1 plays a protective role in oxidative injury of steatotic liver in a mouse hepatectomy model.2014
Author(s)
S. Haga, T. Ozawa, Y. Yamada, N. Morita, I. Nagashima, H. Inoue, Y. Inaba, N. Noda, R. Abe, K. Umezawa, M. Ozaki
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Journal Title
Antioxid. Redox Signal.
Volume: 21
Pages: 2515-2530
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Long noncoding RNA NEAT1-dependent SFPQ relocation between nuclear body paraspeckle and promoter mediates IL8 expression in response to immune stimuli.2014
Author(s)
K. Imamura, N. Imamachi, G. Akizuki, M. Kumakura, A. Kawaguchi, K. Nagata, A. Kato, Y. Kawaguchi, H. Sato, M. Yoneda, C. Kai, T. Yada, Y. Suzuki, T. Yamada, T. Ozawa, K. Kaneki, T. Inoue, M. Kobayashi, T. Kodama, Y. Wada, K. Sekimizu, N. Akimitsu
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Journal Title
Mol. Cell
Volume: 53
Pages: 393-406
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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