2017 Fiscal Year Annual Research Report
Methods for the analysis and control of biomolecules in living cells based on molecular imaging
Project/Area Number |
26220805
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 岳昌 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 博之 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650) [Withdrawn]
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
|
Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
|
Keywords | RNA / 光操作 / GPCR / 蛍光イメージング / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1では,より長時間かつ定量的な生細胞内RNA可視化検出を目指した.発光タンパク質NanoLucの二分割断片型RNAプローブを開発した.試験管内においてプローブ存在下での標的RNAの添加および分解時の発光測定を行った.結果, RNA添加によりプローブの発光値が有意に上昇した.またRNaseを添加するとRNA添加前と同等の発光値まで減少したことから,開発したRNA検出プローブの可逆的が示された.超解像でBakおよびVDACの関与を調べるため、VDACノックアウト細胞におけるBakの1分子観察を行った.観察は15分おきに同じエリアで1分子観察ができるシステムを構築した.BAKはVDAC3の影響を受けて,アポトーシス刺激後105分を越える頃からクラスター形成が生じることを明らかにした. 課題2では,Aktを特異的に活性化する光活性型Akt(PA-Akt)系を応用展開し,転写物,リン酸化タンパク質,代謝物にまたがる大規模解析を行った.刺激後に存在量が変化した転写物群,代謝物群から活性化した転写因子,代謝酵素をそれぞれ推定した.またリン酸化タンパク質の測定結果と照合することでAktが制御するシグナル伝達経路を特定した.これら結果から,糖代謝におけるAktの働きは主に代謝酵素の活性制御であることが示唆された. 課題3では,同定したFPR1阻害剤の作用機序を調べるために,Gタンパク質の活性化を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により定量評価する顕微鏡システムを開発した. FRETシグナルから,リガンド濃度依存的なGタンパク質の活性評価が可能なことが解った.また,FPR1とβアレスチンの1分子同時観察を数分にわたり観察するシステムを構築した.このシステムを用いて,FPR1阻害の1分子レベルでのメカニズムを解析するためのデータ取得を遂行した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1では,RNAの可逆的な可視化プローブ開発へ研究が展開している.ルシフェラーゼ発光型プローブを開発することで,従来の課題であった可逆性的な応答を実現することが可能になった.またBakの超解像イメージングでは,分子数カウンティングが可能になり,アポトーシスメカニズム解明のための1分子観察に研究を展開させた.長時間1分子観察を行うことで,BakとVDACとの相関を解析する系が構築できた. 課題2では,Aktの光制御技術の応用発展研究に大きく展開しており,転写物,リン酸化タンパク質,代謝物にまたがる大規模解析を行った.一連の結果から,糖代謝におけるAktの働きは主に代謝酵素の活性制御であることが解明できた.さらに神経細胞の分化メカニズム研究へ応用展開を進めている.人為的にAktの活性化が可能な光活性型Akt(PA-Akt)系を用い,Akt活性の時間パターンと細胞運命間の対応関係の分析を進めている. 課題3では,東大化合物ライブラリーからFPR1の阻害剤を取得することに成功している.この阻害剤のメカニズムを解析するために,新たなFPR1-Gタンパク質相互作用のFRET評価系と,FPR1とβアレスチンの1分子同時観察系を立ち上げた.統計解析するための膨大なデータの取得を進めており,その解析のためのプログラムを作製した. 以上の課題1~3の成果は,当初の申請時の研究項目をおおむね完了しており,その発展研究に移行している.
|
Strategy for Future Research Activity |
課題1では,新に開発した発光型TERRA検出プローブを用いて,生細胞のRNAの定量解析を実現する.蛍光プローブによる局在解析と発光プローブの定量性を合わせることで,生細胞内RNA解析の一般性ある分析技術を完遂させる.また,ラマンイメージングおよび分光データから細胞内代謝物を同定するための多変量解析法を開発する. 課題2では,Akt光制御技術の応用展開について,これまで得た膨大なオミックスデータを解析し,論文にまとめる.また神経細胞の分化メカニズム研究へ応用展開では,Akt活性の時間パターンと細胞運命間の対応関係の分析を進める.光照射により異なる時間パターンを創り出すとともに,MEKシグナルの必要性を合わせて,どのようなAkt活性の時間パターンが神経分化を誘導するかを実験的に検証し,本技術の有用性を実証する. 課題3では,東大化合物ライブラリーから同定したFPR1の阻害剤について,独自に開発したFRET評価系と1分子観察系を用いて,その作用機序を明らかにする.とくに,FPR1の単量体と多量体形成とが阻害剤にどのように影響するか,Gタンパク質との相互作用に与える影響について実験的に解明する.
|
Research Products
(52 results)